…着いた。
ここがメルンテーゼ…か。
転送魔法を使ったのは初めてだったが、上手くいったようだな。

さて、"世界間を移動する"という第一の難関はクリアした。
あとは依頼の通り、この機械にインプットされた"薬草"を集めるだけだ。
聞いた話によると、どれもこれもこの世界でしか取れない珍しいものばかりなのだとか。
ククッ、この依頼…報酬が高い割りには簡単に達成できそうだ。
…ああ、そういえば、集めるべき薬草の種類や数をまだ確認していなかったな。
どれどれ…。


（携帯電話に似た機械をおもむろに取り出し、なにやら操作を始める。画面には、次のように表示された。）






………。

アホか。

2000種とはどういうことだ！？
薬草収集の依頼といえば普通多くても20種くらいだろう！！
くっ…やはり報酬が高いのにはワケがあったか。
しかも報酬は全て前払いで受け取ってしまっている…投げ出すわけにもいかん。
とっとと終わらせて元の世界に帰るつもりが…とんでもなく長い旅になりそうだな。


…途方に暮れている場合ではない。
まず、この依頼を1人で達成するのは到底無理だ。
誰かこの世界に詳しい者でもいれば、少しは楽になるのだろうが…。
周囲を見渡したところ、人っ子一人いない。



『カサッ』



…？何かを踏んづけてしまったようだ。
これは…チラシ？



王城…というのは、向こうに見える巨大な城のことだろうか？
一揆を行うということは、あまり平和な世界ということではなさそうだな。
ククッ、上等だ…！争いごとは嫌いではない。
人を探すついでに、俺も参加してみるか。