王城から離れてしばらくの時が経った。

処刑人としての職を辞してからこれまで、青年時代にそうしていたように冒険者紛いのことをして、メルンテーゼの各地を回ってきた。

そして現王の行為の結果を見て自分が何を為さねばならないか決意が固まった。
そしてその為に再びこの地に戻ってきたのだ。


「光るエルフの戦士亭」
雑多な冒険者が集まる酒場。かつて馴染みにしていた酒場だ。

情報を集める為、そして自分と志を同じくするものを探す為に再びその門をくぐる。

しばらく時を過ごす内に面白い情報が手に入った。
近く大規模な王への反乱行為を企んでいる者がいるそうだ。
そしてその為に有望な者へ託すためのネクターを集めていることも。

このタイミングでこの状況に出くわすということは、運命の導きというやつだろうか。
反乱行為の首謀者の一人であるルリアンナという人物に会うべく、俺は酒場を後にした。

突然の声に振り向くと、振り向かれた少女は驚きで固まる。
視線はカフスボタンに注がれている……

青ざめた表情で、エステルと名乗った金髪の少女は尋ねた。
この少女も一揆に参戦しているようだ。