光のない世界に揺蕩っていた。
天も地もない、方角すら存在しない無の中を、海中を漂う千切れた藻のように流されていく。
この身を包む浮遊感は、落ちているがためなのか、それとも浮かびあがっているからなのか。
きっとそのどちらでもないのだろう。

私は知っている。ここは消えゆく者の地だ。
墓場ですらない、忘れ去られ消えていく、信仰を無くした神の死地。
やがては私の自我も解け出して、全てが無へと溶けていく。
惨めな敗北者にはお似合いだ。
もちろん、だからといって受け入れられるはずがない。

私の呼び名はこっくりさん。
有象無象のこっくりさん。名前なんてありはしない。
一つのこっくりさんが消えるのならば、それは私でなくてもいいはずだ。
どんな手を使っても、誰を犠牲にしようとも、私は私の願いを果たす。