わー…おっきい。

（————……）

んー！ 美味しいッ！！　やっぱりこの世界のピザは格別ね！！

おうマリナーラ。お前は本当に美味そうに食ってくれるよな。
まあ美味いのは当然だ。なんたって俺の腕が良いからな！

や。ピザを焼く技術自体は普通レベルだわ。せいぜい精進しなさい。
でもこの世界ならではの調理法が貴方の未熟な腕を補って余りある程に素晴らしいのよ。

クソッ、可愛げの無ェ女だ……！！
「この世界ならでは」な……ピザ狂いのお前でも、他所でピッツァ・エンブリオを食ったことは無ェんだな。

私が今までピザ巡りをした他の世界では、エンブリオ自体が居なかったからね。
そのエンブリオを利用したピザなんてのも当然初めて見たわ。

ピザのために異世界を旅してるってんだから、お前も相当変なヤツだよな。
つーか、そんな数多くの世界でピザが共通文化ってのに驚きだよ……

でしょ？ 不思議よねー。
多種多様な分割世界が発生する前からピザは存在したんじゃないか、って仮説を私は提唱したいんだけど。

いや…そういうの良いから……
しかしお前が絶賛するメルンテーゼのピザ文化も、いつまで続くことやら、な……

は？　なんで？　続けなさいよ。文化財として手厚く保護して世界の終わりまで続けなさいよ。

……その保護してくれるべき王様のせいだよ。小耳に挟んだことくらいはあるだろ、ネクター狩りの話。
ネクターが抑えられたんじゃ、ピザを焼くためのエンブリオとも契約できねェんだ。
俺に力を貸してくれているエンブリオのおかげで、今はまだこうしてピザを出せてるけどよ。
新しく契約ができないんじゃ弟子を育てることもできねェから時間の問題だな。
他の店も似たようなモンだろうよ。

……酷い王様も居たものね。ピザを独り占めするなんて、一人のピザリストとして許せないわ。

（いや、ピザだけの問題じゃねェんだけどな。つーか何だピザリストって。）

——…よっし。決めた！　私ちょっと王様懲らしめてくるわ！！

——…は？

え、なにその反応。世のためピザのために動くのがピザリストとしての務めでしょうが。
ピザを見てせざるは勇無きなり、って昔から言うでしょ。

いやだからピザリストって何だ……そんな諺はメルンテーゼには無ェし……
つーかオイ、本気で言ってるのかお前。

本気も本気！　王様許すまじ！！　

……本当に仕方ねえピザ狂いだなお前は。
行くなら……そうだな、一揆を起こそうって連中がゾロゾロと集まってるって話だぜ。
とりあえずそいつらに混ざると良いんじゃねえか。

ほほう、一揆ね。
あ、イッキと言えば、未成年のピザ一気は急性ピザ中毒が危ないから厳禁よ。
しっかり味わって食べなきゃダメってことね！

聞いてねえ。行くなら、さっさと行きやがれ。

うん、サンキュー！　安心して待っててね！！

（————……）

うん。この世界のピザ文化のために頑張らなくっちゃ！！

『馬革にピザを裹む』……
ピザのためならいつだって命懸けで挑むんだから！

手加減なんて生意気なことすんなよ？

『ピザは官軍』！　ほら、何かピザの足しになるモノを寄越しなさい！！

うん、いい線いってる！・・・・・よね？ラルフ？

おう！これだけ動ければ大丈夫だろう。心強い限りだ、よろしく頼む！

よぉしそれじゃ行ってらっしゃい！バックアップは黙って私に任せんしゃいっ！！パパの行動力とママの分析力を兼ね合わせたプレミアムブレンドガールに死角はないわッ！！

明らかに親父の血が濃そうだが・・・・・少しは母親の大人しさが欲しかっ・・・

黙れおっさん。さぁ次いくからねッ！！魔王パラダイス討伐への道は険しいのだ！！

王のこと魔王って言うの、やめねぇか・・・？

パラダイスってほんとフザけた名前よね！！あ、魔王城には厄介な奴らがいっぱいいるからね！なるべく誰かと一緒に進むようにしたほうがいいわよ！！あとこれ支給品！がんばってね！！

さてと、とりあえず一休みでもす・・・

はい次いこ次ぃ！！