しかしそのたび、人々は自分たちとは違う彼を距離を置いていった

両親からなどは生まれたときから距離を置かれていた
物心ついた頃から両親と喋った事などない
話しかけても、テストでいい点数をとっても反応が返ってきたことなどない
今まで、彼を捨てなかったことが奇跡みたいなものだ

そうして、周りとの環境によって彼は少しずつ擦れていった
そうしないと心が壊れてしまいそうだったから

二人と会ったのは丁度そのときだ
彼らは妖怪付きである自分を避けることもなく接してきた
初めは彼らを遠ざけようとした
それでも、自分達が迫害されても、彼に優しく接してくれる彼らに彼は
「どうして、俺なんかに優しくしてくれるんだ？」
そう聞いた。
そうすると彼らは人によっては
「いつも辛そうにしてるから」「可愛そうだったから」
そう言った
ありふれた言葉だ。人によっては腹を立てる人もいるかもしれない
でも、彼はそんな言葉を誰にもかけられる事はなかった
教師にも、近所の人にも、同級生にも、両親からですら彼はそんな言葉をかけられる事はなかった
そんなありふれた言葉がうれしくて、泣いて、そして思った
——この二人のように、困ってる人や辛そうな人を助けられる人間になりたい——と

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「こ、ここは…？」

木々覆い茂る森の中、宗斗は目覚めた。
どうしてこんなところにいるのかと思い出そうとしたとき

「あ、やっと目が覚めたんだ？」

どこか舌足らずな少女の声が頭に響いた
そしてその声を聞いたとき、彼の頭の中に今までの出来事が思い浮かび

「そうか…俺は」

自分がなぜこの世界に来たのかを思い出した

「それじゃあ早く王城前まで来て私を捕まえてね」

からかうような声、その声を最後に頭の中から声が聞こえることはなくなった

「分かってるよ…」

——もう引き返せないな——
そう心の中で思い、苦笑する

「さて、王城前とか言う所に向かうか」

そうして足を王城前へと向けようとしたとき

「ん、あれは二階堂と白附…か？」

同級生である2人を見つけた

「そうか、——————だったからそれで…！」

彼女達を追うべきかどうか悩み、

「放っておけるわけがない…！
少しおくれるけどいいよな！」

少女からの返事はないが、無言は肯定として彼女達を追いかけた…