一揆への加勢…と、云うと、雑多な代替武装で正規軍相手に3:1交換ペースで
健気にも戦う民衆をイメージしてしまう。
イメージしてしまう。いやしてしまった。
故に、支給物資に期待は出来ないだろうなーとか寝床にも期待は出来なかろうーやらアレコレ必要だなーだの
さてどんな手管でもって敵の兵士諸君に前線後方問わず眠れぬ夜を過ごさせてやろうかー
などと期待に胸を膨らませてしまった。
そうして来てみれば、来てみれば…
思ったより、てか無茶苦茶平和な…
まぁ、平和なのはいい。仕事は楽に越した事は無い。
だが、大きな杖にローブを纏った女性やら、大剣を担いだ剣士やら…
まるでゲームかアニメの如くファンタジーしてる世界は問題だ。大いに。

…いらないじゃん⁈ 私要らないじゃん⁈
剣と魔法…だけじゃない様だけど少なくとも私みたいな戦争屋要らないじゃん⁈
戦闘ヤル気満々の武器弾薬山盛りで乗り込んだの馬鹿みたいじゃんっ！

…虚しくなってきた

あー、とりあえず当座の弾薬だけ持って歩こう。
大剣やら弓矢を裸で担いでいる様な世界だし小銃程度担いでいてもまぁ騒がれはしなかろう。
他は…適当に隠しておこう。こんな世界で機甲兵力相手にしたりする事はあるまいて。
…あぁ、もう腹も立たない。むしろ減ってきた。
食堂にでも行こう…

んー、ここでいいや。騒がしい店は旨いもんさ。
…注文が淀みなく滞りなく済んでしまったぞ。何故言葉が普通に通じる。
…まぁ気にしない方がいいか。ファンタジー世界に理詰めほど無駄な事もなかろう。
料理は旨いし文句はない。

…何だか視線を感じる。
殺意では無い。興味？
振り返れば革命的雪国の風情漂う帽子と軍服の様に見えなくも無い服装、そして…バールの様な物を
持った少女が。
ほぅ、低烈度紛争の甘美な誘惑に誘われた口が他にも居たとは！
しかも、身なりを見るに少なくとも私とそう大差無い時代から来ているに違いない！
という事は現代戦の感性を教育する必要は無い訳だ！！素晴らしい！！
先程からの視線も、私というよりは私の銃器や装具に向いていた！！
赤軍兵だろうが中世の住人よりはマシな筈だし、銃器ではなくバールの様な物を所持している所には一先ず目を瞑ろう。
…まぁ、まずは声でもかけてみるとしよう。

(乗り気では無いのか警戒されたのか、無言で頷かれた。構わず席に着くなり右手を差し出す)

暫く談笑した後、行動を共にする事になった。
こうして、異世界において、弾薬、補修部品の次に貴重な思考の前提時代が近しい仲間を手に入れた。
ストレルカというらしく、聞けば工兵、機銃手、更に観測手まで務めてきたという。素晴らしい。
技能次第では、動乱が収まった暁にうちのスタッフにならないかと声を掛けてみようか。

どうやら幸先は良さそうだ。