試合当日。

じりじり太陽が照りつける中、初日徹夜組〜駆け込み参戦登録組もあわせ、総勢2000をこえた一揆勢力と孤独なテストマン、ラルフの一騎打ちが始まった。

赤毛の麦わら少女は、途中で列の整理をあきらめて、参加者に整理券だけ配って寝る為に家に帰ったと通行人に聞いた（ぬるい歩行雑草茶をツケで文無しの参加者や見物人に売ってたので、現場は見てない…なんでみんなお金持ってないの！？）。
ずいぶんと薄情な気がしたけど、アタシだってそうする。
みんなそうする。

めんどくさいし。


　　　　　　カー　…　ン


どこか遠くから、喚声と一緒に金属音が聞こえた。
別にあたしが売ってたアルミ＝アキ＝カーンが誰かに蹴っ飛ばされた音じゃない。
ラルフが2000人+野次馬の人垣の中に作られたリンチ場…もとい特設リングで戦ってる合間のゴングらしい。

試合経過は、通行人に聞くと
「ちぎってはちぎっては投げ、ラルフは恐ろしい怪物だ」
「あの筋肉は見掛け倒しか？賭けにならねえ！！！」
「無駄な怪我人（クスクス）」
「あのラルフはたぶん2017人目…（02：42時確認）」
はっきりしない。
まあ、あの人数だし。いろいろと無事ではないような気がするなあ（他人事）。

「1531番の番号札をお持ちのかたー、診察室へどうぞー」

赤毛の少女がマナ拡声器でダルそうに呼びかけてる。
ネタが尽きたのだろうか、ひどく適当だ。

ああ、そういえばあたしここに何しにきてたんだっけ…。
元手もなくなって、そこらを蠢いてる雑草をむしって煮出す為にきたわけじゃない気がするんだけど。