〜〜〜はじまり〜〜〜

────────────目を開く
見覚えのない場所だ────
大事な自分の田畑の収穫の時期だ、早めに床についたことまでは鮮明に覚えている。

まだ寝ぼけているのか？と起き上がり辺りを見回す。
いつも見慣れている我が家、質素な布団、収穫の準備のために用意しておいた農具類
そこにはその風景はなかった、なにより雰囲気が違う。
────どういうことだ？と彼は首を傾げる

ここにいても仕方ないと彼は表に出る。
だがやはり目の前に広がる彼の田畑、庭で飼っている雌鳥のさちこその姿はない。
彼の目に入ってきたのは雰囲気自体が違う異国の風景。

何が起こった！？とパニックを起こしかけるも深呼吸をして心を落ち着かせる
────そうだ、こういう時は心を落ち着かせよう
金色になびく自分の田んぼ、それを収穫しとれたての米を頬張るあの至福の時
それを想像するだけで活力が湧いてくる、またこの美味しい米を来年も食べようとやる気も出る。


だが、今回に限ってはそれは逆効果だった────
心を落ち着かせようとしたタゴサクの脳裏に浮かんだのは────理不尽な怒り

なぜだ？今頃俺はこの大事な時期、田んぼで稲穂の収穫
収穫を終えたらとれた稲穂を精製にと汗を流しているはずだ
農民にとって自分が丹精込めて育てた作物を収穫するのは至福の時。
それを邪魔されたわけだ、怒りが出てくるのも尤もであろう

収穫したい……耕したい……
彼の感情は昂っていく…

そして彼は見知らぬ土地を歩き出す、どこか耕すのに良い土地はないかと。