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メルンテーゼ 集落からは少し離れた川沿いの道。
時刻は早朝、二人の周囲に人影らしいものも無い。

一人の少女が地に伏せた青年を見下ろしている。



「テッメ、クソ・・・がァ・・」

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マキリ。彼の血筋は由緒正しき血統を受け継ぐ高貴な悪魔のものである。
故に彼の家柄の権力はとても大きく、また礼節や躾にもとても厳しいものであった。
幼い彼にとってのそれは鳥籠のように窮屈で、彼が次第に自由というものに憧れを抱くのにそう時間はかからなかったろう。
勉学に励めば励むほどその知識は好奇心となり、本の記す外の世界は尚彼をときめかせたのだ。

しかし、そんな彼に外出の許可が与えられることはなかった。

"我が血筋ながらお前は酷く弱い。"
"そんなお前は妬み、憎しみの格好の餌食となる。"

彼は悔しかった。己の無力が。彼は憎かった。此の鳥籠が。
現に妹のアンジェラは魔力の素養もあれば学術の飲み込みも速い。

ああ、お前は間違いなくあの父様の血筋だろう。

だからだ！だからこそ私は！比べられ守られ、そして嫉妬に狂ってしまう。
唯一心を許せた妹が今では遠くに感じてしまう。

なあ、どうしてその居場所は俺のじゃなかったんだ・・・？
なあ、どうして・・・
・・・・・・
・・・



.。o○

口を開けて寝ていた為か酷く口の中が酷く乾燥している。
しっかしまぁ、随分と懐かしい夢を見たもんだ。
綺麗サッパリ捨ててきたつもりだったんだが・・どうにも記憶ってやつは面倒臭ぇ。
まだ若干寝ぼけていて頭が上手く回らないが、とにかく水分だ。
そうして彼は道なりを進み川場へと向かう。



川場には自分ともう一人。キャンプの跡があっただけに昨晩はここで過ごしたのだろう。
へぇ、女のガキか。物騒だっつーのに。たく、よくみりゃアンジェラみてーな・・。

無意識であった。彼は彼女の肩を掴み強引に振り返らせた。
その行動には彼自身も驚いたが、当然その相手はもっと驚くわけで。

痛い。無言の視線が凄く痛い。
よく見れば見るほど妹とは異なる点ばかり目に入る。
まず、俺の妹はそんなネコ耳や尻尾属性なんて持っていない。そんなあざとくはない。
そう叫びたいが、叫べるわけもなく。
マズイ、無言の視線が凄くマズイ。何か取り繕わねば・・

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だが下手に逆らってはいけない事ぐらいは俺でもわかる。
過去に二回、女から刺された経験があるが、あの手の大鎌は洒落にならねぇ。
あと目がマジだ。つぅか、これ最初と別人デスヨネェ！？？

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