■一ノ日

　今回与えられたミッションは儀式中の巫女を倒すこと。
　その儀式が成功されると色々と都合が悪い者がいたのだろう。
　俺以外にも違う手段で確実に倒すように保険をかけた形のミッションであった。

　最悪組織が判明されても巫女を倒せ・・・・早い話がそういうことであった。

　途中まではミッション遂行は完璧であった。
　ただ、最後の最後で失敗に終わった。
　いや、失敗に終わるだけならまだしも何故こんなことになったのだろうか？

　その記憶を遡る・・・。

　まず、俺の狙撃が外れた。
　ただ、銃弾の目標や軌道は間違いはなかった。
　何時もどおりにいけば、今回のターゲットも間違いなくその眉間を撃ち抜くはずだった。

　だが。

　──キィン！

　ターゲットの眉間にあたるはずだったその銃弾は、
　白く光輝く障壁に阻まれ、金属音を鳴らしてその弾丸を弾き落とす。

　突然現れた障壁に驚くターゲット。
　それに構わず金属音が鳴り響いたと同時に三人の黒衣の者がその女に斬りかかった。
　二段構えで確実に仕留めるはずだった。

　──ガキィン！

　しかし、三人の剣や刀はその女に届くことはなかった。
　三人の攻撃は白い障壁によって阻まれ、傷ひとつ与えることもできない。
　儀式を止めようと俺も慌てて近づこうとしても、周りの警備兵に囲まれてどうにもならない。

　そして、何人か倒したとき、儀式を行っていた方から物凄い爆音が聞こえ、
　その次の瞬間、その周りに奇妙な空間がゆがむ感触を感じ───俺は意識を失った。



　・・・あの時一体何があったのか振り返っても答えは出ない。
　あれと同じことをもう一度起こせば、あるいはとは考えるのだが
　どうやら、ここにはそういう術を持っている者はいないようであった。

　そして、この世界にしばらく居て情勢も大まかつかめたところである。

　幸いかどうかはわからないが、世界の王がネクターという花びらを集め、エンブリオを独占しようとしているらしい。
　ネクターをつかってエンブリオと契約することで、そのエンブリオの力を得ることができる。

　──と、なると、答えはひとつだ。

　エンブリオの力をより多く集めればいい。

　それは、比較的単純な結論であった。