集光器の中で、細く硬く丸まった花弁を取り出す。
あざやかだった紅色は、すっかり乾いて深い赤をその身にたたえていた。
水に入れて煮沸させると、朱に交わったように頬を染めてゆく湯が見た目にも愛おしい。


赤い花を煎じた謎のお茶が、現地の菌性感染症の予防に効くという。
ヒメネスは、色々な世界を回ってきたから、そういうの詳しいんだ。

彼が偶然見つけた一輪の花、２人で飲むには少なすぎて。「ボクは大丈夫だから」とムリヤリ押し付けて……譲ってくれた。
気のないそぶりで、なんだかんだで心配してくれるよね。
初めて故郷を離れた私の不安にそっと手を差し出してくれるヒメネスの優しさが、私にはとても嬉しかった。

彼がこうして守ってくれるように、私だって彼を守らなくちゃ。
内乱なんて起きてる世界、彼一人だけじゃきっと生きていけないよ。

今日、彼に言いそびれちゃったけど、ここに書いたら届くかな？
好きだよ。ヒメネス。

命の花を飲ませてやる。イェイ。
これで当分は大丈夫ヨネー。
それはそうと、ここって食事おいしいのかい？ ステキ。