おそらく、自分はこのままずっと人々を案内していくのだと思っていた。
ときには新たなランプをつくり、ときには読書に耽り、ときにはエンブリオを探し——
——そんな日々が続くのだと。
そしていつか自分がそうだったように、新たなガリバルディアの卵を迎え、その指導をし自分は引退するのだろうと。
まだ引退した後のことを考えたりはしていないけれど、未来はそんな風になっていると思っていた。


しかし今、事態は切迫していた。
ネクターの独占という行為により、契約したエンブリオを封じたランプを維持するのが難しくなってしまったのだ。
このままでは自分の役目を果たせないどころか、迷い森の里自体が孤立してしまう。
それだけは避けねばならない。
そしてジャドゥーラの守人たる自分が、ガリバルディアが、そのために尽力せねばならないのだ。
そう決意し、生まれて初めて迷い森に背を向けた。



——さて、ここは一体どこなのだろうか。

あなたが王城前を歩いていると、前の方から眼鏡の女と大きな樹が歩いてくる。
後もう少しですれ違う……というところで、大きな樹のほうがあなたのことを見て立ち止まった。

　

　

と、そこまで話してから眼鏡の女はあなたの手に持つランプに目が留まった。
興味深そうにまじまじと見つめている。

　

　

と、そこまで話してから眼鏡の女は、
こんどはあなたの体つきをまじまじと見つめる。

　

　

……大きな樹が、とても嫌そうな顔つきをしたような気がした。