私の掛け声と共に、多重展開させた私の魔術陣と召喚したアイスエレメンタルの魔術陣から七色の光線を一斉放射。
放射した七色の光線は宛も虹の雨を画くようにして前方に居る魔獣達に降り注いでいきます。

そして第一一斉放射が止む頃には一番危険そうな雰囲気を出してたフロスティはあっさりと地に伏してました。

ガチャン、という薬莢を弾く様な幻聴が感じながら、二回目の一斉放射の為に展開する魔術陣へ魔力を送り込んでいきます。
魔力を送り込んでいくにつれて魔術陣から発する蒼色の魔力光が徐々に強くなっていきます。

一回目の一斉放射を受けたノーグル達は、予想外な事が起こったらしく焦りが見え始めています。

それもその筈。この攻勢魔術式は直接的な物理ダメージではなく、魔物らの体を構成している魔素を削って弱体化させるという術式。
有機物の相手には魔力と精神を削り、魔素構成体である魔物には肉体を構成する魔素そのものを削る・・・
ある意味で魔物キラーな術式なのです！徹夜で頑張って組み上げました！

ちなみにこの術式が暴発すると私も唯じゃ済みません。
私の身体は普通の人間と違って『翼が生えた際に魔素構成体化してしまった』ので、この術式を自分にかけるとやばいです。死んじゃいます。
なのでこの術式を扱う際は凄くすごーく慎重に扱ってます。

再充填が完了した魔術陣を再発動させて、掛け声と共に二回目の一斉放射を開始します。
掛け声に合わせてアラヤちゃんが術式を同時発動させてノーグル達へ集中砲火させていきます。

自らの体を構成する魔素を削られて自慢の再生力を封じられたノーグル達に勝利する術は無し。
私とアラヤちゃんの何度かの波状連携攻撃によって、ノーグル達へ干し肉の借りを返す事が出来ました。

戦いに勝利して緊張が途切れたのと、思った以上に術式の負担が大きかったせいでへなへなとその場にへたり込みます。
流石に大型魔術式に加えて法撃用の小型多重魔術式を複数に、氷精召喚まで召喚したので少し無理をし過ぎました。

アラヤちゃんが心配して声をかけてくれますが、笑顔を見せるだけで実は精一杯でした。
私が動けそうに無い事を察したアラヤちゃんは既に雪風景が無くなりつつあるここで野営をしようと準備を始めました。
準備の様子を見て私も本当は手伝いたいのですが、座ってるのも辛い私はそのままぐったりと横になってしまいます。

暫く横になってアラヤちゃんの様子を眺めていると、アラヤちゃんが私に「何か食べたいものある？」と聞いてきます。
まさか料理のリクエストをアラヤちゃんから聞いてくるとは思わず面を食らってしまう私です。

捕まえたフロスティに視線を向けながら私はそんな冗談を言います。
私の冗談にガクガク震えるフロスティ、そして震えるフロスティの首根っこを掴んで鍋の方へ持っていこうとするアラヤちゃん・・・。

フロスティを鍋に放り込もうとするアラヤちゃんを慌てて止めました。冗談が過ぎましたごめんなさい。
まさか本当に実行しようとするとは思わなくて、アラヤちゃんの純粋さに少し罪悪感を感じて強く反省。

その後はいつものシチューを作ってもらって二人仲良く食べて一日を終えます。

　＊　＊　＊

翌日。
一晩休んで元気が回復した私はアラヤちゃんの隣で鼻歌を歌いながら道中を進んでます。
以前に比べてアラヤちゃんとの会話も増えて益々仲良くなった気がします。

他愛も無い話をしながら仲良く並んで道なりを歩んでいると、近くから人の話し声が聞えてきました。
私はその話し声に猫の耳を澄ませて内容を聞いていると、どうやら聞える内容的にこの一揆に参加してる冒険者の様に思えました。

アラヤちゃんに冒険者への情報交換などの旨を伝えて了承を頂くと早速その声のする方へ向かおうとします。

声の主はすぐに見つかりました。
黒い姿の男性に白い姿の女性の二人組が何やら話し合っています。
私は早速声をかけて、何か有益な情報が貰えないか交渉を試みます。

・・・紛うことなき交渉です！道を尋ねる振りをして色々聞いちゃうのです！決して迷子なんかじゃないよ・・・！（震え声）

私の声に気付いた白黒二人組の内、黒の男性は私の問いに答えようとこちらに近寄ってきます。・・・この人は良い人っぽそう！
しかし、そこへ白の女性がブロッキングの如く黒の男性を制止させると、武器を抜いてこちらに向けてきます。
どうやらこの白の女性は警戒心が強そうで厄介そうです。

白の女性曰く勝てたら問いに答えてくれるらしいです。
やれやれとした感じで黒の男性も武器を抜いて構える辺り、上下関係では白の女性の方が上なのかな？
あまり冒険者同士で争うより仲良くしたい・・・と思っていると、アラヤちゃんはニヤリ顔で既に術式を展開済みでした。
これはもう戦わないとだめな感じなので、私も戦う準備をしましょう・・・。