この世界に来てからハーヴェイと二人でいろいろなところを見てきた。
あの荒廃した世界と比べればここは綺麗な場所が多い。
偶然辿り着いた場所だけど案外いい所に来られたなと思う。


ここで僕の探している人たちに会える可能性は低いかもしれないが、
それでも可能性がある限りは少しづつでも前に進もう。


時間は有限でも僕の時間は止まったままだ、焦る必要は無い。


「・・・ルークはどうしてるかな」


以前共に旅をしていたもう一人の仲間、ライア・ルーク


口数の少ない彼の事だ、変に誤解を招いて面倒な事に巻き込まれていたりしないか少し心配になる。
彼は腕が立つし僕が心配する様な事は万に一つもないだろうけど、癖のある友人を懐かしむ位の事は彼も許してくれるだろう。


そんな事を考えながら横を歩くハーヴェイに目をやると怪訝な目で僕を見た後、
少しだけ口角を上げた口に煙草を咥え足を止める。



そして、足音が聞こえた。

ざりざりと音を立てて、何者かが背後から近づく。

あなた達が振り返ればそこにいるのは恐らく、見知った顔だ。

男は、二人の顔を確かめるように見比べてから、肩をすくめて口を開く。

いうが早いか、"あの世界"で行動を共にしていた時のように。
両手から武器を発生させ、構える。
彼が持ち出した武器は、普段臨戦時に構えていたその二刀ではなく、
みたことのない大きな槍状の武器。

男は、自身の獲物を確かめるように見てから、あなた達の背後を見据えた。

——彼の視線の先には、数体のエンブリオ達が敵意を顕わにしている。