知らない草、土の匂いと感触。鳥の鳴き声で空の高さを知る。
風を切る音が今自分が立つ大地の広さを教える。

気づいたら目覚めていた。

森の土に眠り、木の根を食み、雨水で喉を潤す。
獣も鳥も虫も様々なことを教えてくれた。
この世界には、国には、良いことと悪いことの両方ある。
少しだけ悪いことが多いから、人が戦うのだと。

私は謝った。
すまない、と言った。
私もきっと戦うしか出来ない。

獣も鳥も虫もそれには何も答えなかった。
私はそれを、いいことだと思った。