お父さんの形見、妖刀マハン・ラスニールを枕元に置いたまま、ベッドのなかでぼんやりと考える。
両親のことを知るための手がかりとして、マリア様とけんかしてまで、使わせてもらっている刀。

わたしは昨日のモンスターとの戦いの中で、ラスニールのいう特別な使い方を練習したときの光景がスローモーションで頭の中に映し出されます。

・・・昨日はラスニールを通して魔法を使うために、いつものようにあらかじめキーワードや術式解放の動作要素を組み込むやり方をしないで、最悪の方法で魔法を使ったら、本当に最悪の結果になっちゃうなんて。
わたしには、戦いながら術式を組んだり走りながら呪文を唱えたりするのはまだ難しいから、準備した魔法が尽きたときにする、最悪で、当たり前の方法で渾身の一撃を放とうと・・・したのに。

以前ラスニールたしかこう言ってた。
--回想--

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うまくできれば、わたしでもマリアさまのために戦う力になれると思ったのに。
リヴァランに守って貰いながらついに本番で特別な術式を試してみたのに。
特別といっても術式はほとんど同じ。魔力の出し方を意識して、ラスニールに魔力を流し込むだけ。
だから、難しくても失敗なんてないと思ってた。
でもその瞬間に術式はわたしの制御を離れてマリア様に向かって・・・・

そうして、わたしは考え事を中断してふとんを頭からかぶりました。


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翌日、わたしは孤児院へ戻るとさっそく自分の部屋へに向かいました。
念のため刀を玄関に置くと

右腕を包帯で吊ったブリギッタが、笑顔で私を迎えてくれる。

恐怖を思い出して震えるブリギッタを、お姉さんらしくそっとを抱きしめる。

お互いの体を強く抱きしめあうと、そっと耳元でささやく。

強引に話をそらしておしゃべりを楽しむ。

ブリギッタのおかげで少し心は軽くなったけど、昨日のわたしの件といいラスニールの干渉を疑わないわけにもいかない。でも、お父さんを知っているし、マリア様のために戦う力にもなる。だからといって、このまま使い続けていいのかなあ。
きっと手放すことはできないと思いつつ、その可能性を考えないわけにもいかないし。
どうしたらいいんだろう。