「……ただの麺類なんじゃねぇの？」

「……ただの麺類じゃねぇんだよなぁ、コレが」

先日コウモリが発見した犬みたいな臭いのする人間は、紆余曲折あって最終的に俺が背後から殴ったことが契機になって仲間になった。
俺が以前から仲間として持ち歩いていた麺類を見せたが、仲間どころかそもそも生物としてすら納得した様子が無い。

「え、だってこれ……えぇ？」

「俺だってよくわかんねぇけどさぁ、生き物なんだからしょうがねぇだろ、納得しろよ犬」

犬は麺類の入った器を持ち上げ、色々な角度から観察し始める。
この犬の臭いのする人間のことは、わかりやすいように犬と呼ぶことにした。
最初は反発していたが、コウモリの群れに1時間ほど全身噛み付かせておいたら納得したらしい。
穏便に愛称も決まったあとで、名乗られた気もするがよく覚えていない。

「戦闘になったら動くんだぞそれ、箸とかで殴るし」

「そんなもの仲間にする神経がわかんねぇよ……」

犬じゃなくて天狼だとかなんとか言っていたが、どう見ても人間だし魔力も一切感じられない。
そもそも天狼なら上位の吸血鬼と同等以上のはずなので、仮に人間に変身していたとしても、こんな犬みたいな臭いのする魔力の欠片も無い人間になるはずがない。

「まぁ納得しろよ適当に、そろそろ俺の食事の時間だし行くぞ」