※Eno.100/Eno.458の日記とリンクしています
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サクラ・エゾヤマ

　錬金術を学んでる１６歳の少女。
　卒業試験に挑みいろんな世界を渡り歩いている最中だったが、師であり初恋の相手でもあるレイヤ（Eno.459）が昔の錬金術の
　実験の影響でもう余命幾ばくもない事実を知り、卒業試験を放棄しレイヤの命を救う為の研究を行うと決心した。
　昼夜問わずに研究を続け、焦りも相まってサクラは心身共に疲労気味の様だ…
　今日はこの世界の大規模なイベントがあるらしい。
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今日は珍しく静かだ。

なんでもウルドとユカラ君とマグちゃんとアズちゃん（Eno.144）が一緒に出かけているらしく、
セツカさんが護衛としてひっそりとついて行っているそうだ。
ウルドったら本当にうさぎの獣人であるマグちゃんにお熱なんだから。
いちいちウルドの行動を制してきそうなユカラ君も一緒に誘っていたのは意外だったけど、
もしかしたらウルドなりに気遣って、長年離れていた兄妹を気遣って一緒に…？
優しくて行動力のあるウルドのことだからありえる。

そんなこんなでカムイさんが灘さんを引っ張ってどこかに連れて行った今は、
宿の一室にレイヤ先生とあたしの二人だけなのだ。
部屋は勿論別々にとってあるのだけど、研究の成果を見にレイヤ先生が来てくれている。

「ふむ…」

あたしの書いたメモや調合した薬を見てレイヤ先生が頷く。
あたしが作ろうとしている霊薬はそこらにあるものを混ぜ合わせるだけでは完成しない。
薬品をいくつも作り、その薬品に別の薬品を何度も重ね合わせて完成していく。
今日用意した薬品はその最初の方に使うものだ。
正しく完成しているか…あたしはレイヤ先生がチェックしているのを緊張しながら見守っていた。

「これなら大丈夫だ。何の問題もなく完成しているし精度も高い。」
「…よかった。」

レイヤ先生の言葉を聞き、ほっと胸をなでおろす。
そんなあたしの様子を見てレイヤ先生は少しばかり苦笑いしながら薬品をテーブルに戻した。

「こんな初歩のものでそんな緊張していてどうする。」
「だってぇ…それくらいあたしには大切な一歩なんですぅ。」

あたしが唇をつんと尖らせぶつぶつと呟くと、レイヤ先生は優しげな笑みを浮かべベッドに腰を下ろした。

「その大切な一歩が順調だと言っている、素直に喜べ。ところで貴様は出かけなくてよかったのか？」

そう言いながらレイヤ先生が窓の外に目をやる。
ウルド達のことを言っているのだろう。
あたしは椅子とベッドを交互に見て、ベッドのレイヤ先生の隣に腰を下ろした。

「いいんです。…今日は夏のお祭りなんですってね。夏を夏らしく過ごすお祭り。」

レイヤ先生が少しばかり首を傾げながら、あたしを見る。
あたしはにこりと笑って続けた。

「こうして涼しい部屋の中で過ごすのも夏らしいと思いませんか？」
「ふむ…なるほどな。……そうだな…。俺様達は夏らしく避暑か。」
「はい。」

あたしの言葉に同意してレイヤ先生が瞳を閉じる。
開いた窓から、夏の風がそよりと入ってきた。

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