精神的な消耗が激しい。
ぐったりと岩場あたりに倒れ込んで、大の字に寝転がってあーとかうーとか言うのを繰り返している。
ノンが心配そうに覗きこんできているのは知っている。知っているが、しかしだからといってそれで身体を起こす気にはなれない。
精神的何とやらの消耗が激しい。何故一揆に参加して、気晴らし＆ノンの機嫌取りに来たというのに、全裸の変態に出会わなければならないのか。

はあ、と重く息をつく。

ああ、そうそう、出会うならこういう、運命の出会いみたいなのを求めているわけよ。
かわいーお姉さんにやさしーく声をかけてもらって、これからご一緒にどうですか、みたいな、こう、

————なわけ、あるかッ！
ゆるゆると巻いた金髪、濡れた瞳、ころころとやわらかな声。
その下に視線をやればたわわなものが見えたけれど、より下には魚の鱗。

思わずそのまま誘われてご一緒してしまうところだった！

セイレーンの怖さなんて子供でも知っている。ひょいと跳ね起きて
、赤いゴムを引き絞った。

（星屑の小川の、ちかちかと光る水面を眺めながら、スラッグマンとアニマは、ヒュルヒュルと宙を飛び回っている……）

（スラッグマンは木の枝に、のっぺらな顔面を思いきりぶつけた。そのまま地面に落ちてゆく。）

（ヒュルルル……ボトッ！）

（落ちた先は、岩場。
なにやら金髪の少年が一人腰かけている、その足元と言ってよいほど、すぐ傍のよう……）

イソラギは、軽く頭を下げたら、ぼくのフードへ引っ込んでしまった。
すいません、ってぼくは言う。

シズさんを見つめるぼくの視線にも例外はなかった。