[SummerVacation]

なにやら、一揆をしに集まった中で、夏を満喫しようという趣旨のイベントを行うと聞いた。
ヘクターやオズワルドも故郷の特産品を振る舞うパレードを主催するということで、俺とユージェニーも手伝いに参加することにした。

もちろん、俺の目当ては二人の故郷の特産であるという酒にあったわけだが。



ジリジリと照りつける真夏の日差しを浴びながら、砂浜を練り歩くパレード。
時折海から吹く風がほんのりと冷たく、会場の熱気を穏やかなものにしてくれる。
どこかの国の水兵服だという衣装も、縫製や色合いが夏の海辺にぴったりだ。
元の世界に居た当時は、海や浜辺は縁遠いものだったせいか、慣れ親しんだ森や山にある時とはまた違った新鮮さを持って自然に向かっている気がした。
ピンクも海は初めてのようで、とてもはしゃいでいるように見えた。

最初は緊張した面持ちだったユージェニーも会場に溶け込み始め、
オズワルドは手料理や酒を振る舞いながら女性に声をかけている。
ふたりとも楽しんでいるようでなによりだ。
仲間の楽しんでいる様子を見ながら飲む酒も悪くはない。

ふと、視界の端に眼鏡をかけた女性と話をしているヘクターの姿が見えた気がした。

武器を構える前に一礼する。

立ちはだかる様に、リィーンの前へずかずかと歩み出る。