「あっついねぇー」

「さようですなぁ」

強い日差しの昼間。
私はキーンおじさんのお店であるテントでちょっと涼ませて貰っていた。

「おじさんアイスない？」

「品切れでございます…」

「そっかぁー…」

アイスがなくても日除けがあるだけだいぶまし。
ぼんやりと会話しながらまだまだ私はここに居座る気でいた。

「カンナ様、テントを畳みたいのですがよろしいですかな？」

「えぇ？！」

キーンおじさんがとんでもないことを言う。

「な、なんで…」

「店の場所を移動したいのです。
　水辺と言いますか、海のそばでは催しがあるのですよ。店の場所をそちらに移したいのです」

キーンおじさんは商人だ。
そういうことなら仕方ない。

「水辺についたらとっておきのかき氷を売り出しましょうかねぇ…」

「ほんとっ？！　行くっ。私もついてく！」

かき氷に釣られたわけだけど、こんな暑いんだし海に行くっていうのも魅力的だった。
何か一揆とか言って戦ってばっかりだから、たまに海で泳いだりして気分転換したって罰は当たらないよね。

「おじさん布買うよー。水着作らなきゃ」

「お買い上げありがとうございます」

そんなこんなで私たちは海のそばに移動したんだ。
潮のにおいとか、波の音とか、おっきな入道雲とか、熱くなった砂とか、一面の海とか。
まさしく夏ーって感じで、さっきまでのだらけた気分はどこへやら、気がつくと声を出しながらテントの設営を手伝っていた。

「結構ひと来てるんだね。お祭りかー」

「これだけいれば売り上げも見込めそうですな」

周りにはお祭りに集まった人や出店がにぎわってる。
何かどんどんうきうきしてきた。

「水着早く作…」

言いかけて、海から大きな何かが上がってくるのが見えた。
セイウチ。
近くにいた人を攻撃し始める。

「大変だ！行かなきゃ」

駆け出そうとしたとき、光る何かが横を通り過ぎた。

「えっ」

光はセイウチに向かっていく。
直前でいっそうまぶしく輝き、それは鎧をまとった女の子の形になった。
光と風をまとって、その子はセイウチに攻撃を叩き込む。

「お祭りを楽しむ人たちを攻撃するなんて絶対に許さない！」

一度距離をとって構え直す。
そこに私が走り込んでセイウチに拳を決めた。

「あなたは…？」

「正義の味方じゃないけど、私も手伝うよ！」

言い終わる前に魔法がセイウチに飛ぶ。

「女性ばかり危険な目に遭わせるわけにはいきませんからねぇ」

キーンおじさん！

鎧をまとった女の子は私とおじさんを見て頷く。

「ありがとうございます。一緒に戦いましょう！」

光が集まり、大きな力になる！
人々の協力が！　戦う乙女の背中を押す！

光の使者ラグナルキュリアは、悪に決して負けはしない！



こうして暴れセイウチは海に帰り、海辺の平和は守られたんだ。






「何かこのノリ変じゃない？」

「メタ発言はよしなよカンナ」

のんが涼しい顔でかき氷を食べながら言った。


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ナリ・キーン（1481）様、ラグナル・アクセリナ（2023）様お借りしました。
お祭りというのは[SummerVacation]（http://if-ev.tumblr.com/post/54092209651/summer-vacation）のことで、準備中を書かせていただきました。

平凡な少女が、岩かげから水辺の様子をうかがっている。

どうしても思い出せないほど痛かったらしい。

3人で戦うことになっていることも理解できない、いやしたくないようだ。迫りくる現実と戦っていた。

男は頭を抱えている。横を見れば、先日股間を強打してきた空気読めない女に、訳のわからない派手な女。

とにかく深く考えず妙な生き物を撃退することにした。

問答無用で戦いが始まった！

(気絶するまで笑顔で見守っている)

(しかし、気絶した後何をしたかは本人のみぞ知る——)