五日目

案の定エンブリオだった。

ちょっとびっくりしたものの難なく勝利。

種族まるごと美形設定なんかに負けてたまるか。

世の中不公平だ。

ばかー！



服が完全に乾いて、後片付けを済ませて出発する。

また川を渡らないといけない。

来るとき濡れてしまったので一応下はぬいでスカートは腰のあたりで縛っておく。

見られたら恥ずかしいので早くわたって足拭いてしまおう。

…。

昨日寒い思いをしていた時ちゃっかり距離を取っていた子らがうるうるした目でこっちを見てくる。

こいつらも卑怯だ。

ちくしょうめ！

二人を小脇に抱えて川を渡る。

ちべたーい。

持てなかった荷物をもう一度取りに戻り、もう一度渡る。

ちべたーい。

戻ってきたらごめんね顔でこっちを見てくるエンブリオたち。

あーひきょうだーすっごいひきょうだとてつもなくひきょうだ。

さらに足を拭いてパンツはいてるうちに私がいつも持ってる荷物まで持って待機してる。

くっそう許さない訳にはいかなくなるじゃないくそー。



ぱきぱきと小枝を踏み折りながら林を抜けて順路へと戻る。

少し進むと殆どの人が夜を過ごしたらしい開けたところに出た。

いつもより遅めの出発だったけどまだ眠そうに片付けてる人もいる。

何故か水着の人もちらほらいる。

それを横目にのたのたと先へ進む。

荷物を持っていないので身軽なんだけど、代わりに持ってくれてる子たちの負担が増えているので

それも考えて今日はゆっくりと行かなければいけない。

この季節とは思えないぐらい涼しいので全然苦でもない。



私を抜き去っていく人たちやら戻っていく人たちの中にも水着の人を見かける。

すごい楽しそうに喋りながら抜いていったお姉さん方の話を盗み聞きしたところによると

だれかしらが海で遊ぼうっていう企画を建てたらしい。

一揆中に。

薄々感じてたけどこの一揆やっぱりかなりの人に祭りの類だと思われてる気がする。

自分も似たようなものか。

羨ましいなあと思いつつ水着持ってないししぶしぶ先に進む。

いいもーん普通に進んでるだけで楽しいもーん。ぷーだ。



てくてくと順路を進む。

空が若干赤らんでくる。

朝ごたついたせいもあってか次の市はまだ見えてこない。

暗い中で自分用の場所を探すのも危ないし、今日はおとなしく普通のところで夜を過ごさないといけなそうだ。

そろそろ明かりを出そうかな、と思った所で道がひらけはじめ、遠くに市の明かりが見えてくる。

よかったギリギリセーフ。

更に近づいてくるといつもと違う香りがしてくる。

この香り明らかに祭りの屋台のものだ。

どれだけ浮かれてんだこれ。



若干離れた人の少ない所に寝床を決めて夕食の準備をする。

食材は昨日作った干物…とさっき買ってきた焼きそば。

美味しそうな匂いには勝てなかったよ…。

屋台の食べ物ってそんなデキのいい味じゃないと思うんだけどなんかスゴイ美味しく感じるんだよなあ。

エンブリオたちにもおすそ分けする。

この子たちには若干しょっぱいかな？



ふぅ、ごちそうさまでした。

…あれ？

なんかエンブリオ3匹に増えてるんだけど…？

…キミ、ネクターいる？あ、いるの。

じゃああげるから一緒に行く？行ってくれる。

ありがとー。



ということで旅の仲間が増えました！

ちょっと気分が良くなった感じで今日も寝る前の読書をはｊ



六日目


おはようございまーす！

本を読むとよく寝れるね！



結局昨日はランタンだけで過ごしてしまった。

油って結構お金かかるからなるだけ使いたくなかったんだけど着いた時間が悪かったからしょうがない。

昨日乾かした薪が残っているので今晩はきちんとそちらを使わなければ。

朝食はいつもどおりなので省略。



荷物を片付けて出発した。

また道が川辺に合流する。



…変な人がすごいアクロバティックに水浴びをしている。

なんかすっごい怒ってる！？

いやこんな開けたところで水浴びしてるからでしょ！？

水着のままこっちきた？！

ひ、ひいい！！

突然の大声に驚いたと思ったら、小さく吹き出すアピス

んー、と少し何かを思い

　終始小声の相手に対し、若干心配そうな素振り。空気を読む気はさらさらなさそう。
ちょこちょこよって来ました。

　もしも体調を崩してるなら、このままどっかに担ぎ込まれそうです……