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愛しの我が娘、ミルフィーユへ
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何事もなく、順調に旅が進んでいるようで何よりだ。
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我々も変わりなく過ごしているよ。
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無事に彼と合流できたのならば安心だ。
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私も多少は安心したよ。
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彼の姿については私も独自で調査してはみたのだがね…
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結論を言えば、今のところは原因不明なのだよ。
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彼の事だ、詳しく聞きたいと言えば口を開いてくれるとは思うがね。
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実力は落ちてはいないとは思うが、
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やはり姿が変わってしまった影響はあるだろう。
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見知らぬ者…というのは、私は何も聞いておらんな。
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恐らく葉月君が判断したことだろう。
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なに、友が増えることは良いことだ。
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ミルフィは問題ないと思うが、仲良くするんだぞ。
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いや、だが…。
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万が一にも男がいる場合は
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仲良くしすぎるんじゃないぞ。
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くれぐれも、無事に帰ってくることを祈っている。
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愛をこめて　　パパより
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父からの手紙を見ながら、時折微笑んで手紙の返事を綴るミルフィ。
彼女の返事が書き終るのを待っているのは、
前回手紙を届けてくれた従者とは違う人だった。

畏まりながら、一歩置いて待機する男。

手紙を綴る手は休まずに、チラリと待機している男を一瞥する。

若く、どこまでも走っていけそうな健康的な従者だった。

ここから故郷までは遠い。
陸路、海路、空路…往復手段がどれであれ、それなりのスタミナは必要だろう。

そんなやり取りをしている中、
書き終えた返事を、シューノワール家の紋章が入った封筒に入れて従者に差し出す。

恭しく一礼をし、ミルフィの手から手紙を受け取り懐へ仕舞う従者。
その様子をぼうっと見ていると、ふと我が家が恋しくなってしまう。
旅に出る以前は、こんな旅、イージーモードだと思ってはいたのだが…
いざ家を出てみると、やはり寂しくなってしまうようで。

軽く首を振り、きょとんとした顔の従者に向き直る。

深々と頭を下げてから、慌てて走り出し遠くなっていく従者の背中。
それを見送るミルフィ。

ふ、と…一瞬だけ、私自身も連れて行ってほしいなどという考えが浮かんだが。

ぷりぷりと理不尽に怒りながら、ミルフィは従者の去って行った方向とは真逆の、
仲間のいる方へと真っ直ぐに歩いていく。

その様子を見て、慌ててシロも後を追う。
大きな荷物を不安定に揺らしながら、小走りに。


旅はまだまだ、序盤の序盤——————。

金髪の女性が話しかけてきた。翠玉色の瞳が印象的で、長い髪をまとめて結い上げている。
白のノースリーブブラウスと黒のパンツルック。右手にだけ不思議な形状のグローブをしている。
女性はミルフィーユを見るなり、何かに気付いたように言葉を切った。
　

マリナは胸に手をあてると折り目正しく礼をした。
　

一揆に参加はしないとの答えに、そうか、とちょっとだけ残念そうに答えた。

一つ一つ丁寧に説明される道具をキラキラとした眼で眺めるが、
やがて一つの道具に決めたのか、それを手に取り。

購入しようとしたのは、『冷たいままをたもてる水筒』である。
どうやら、暑い時期だったのが決めてな様だ。

舌打ちをする。シロ、余計なことを言うんじゃない、と顔に出ている。

※うっとうしそうな男が　あらわれた※

つられたのか　ぐぐぅ　と音がする。

　ちっこいのが依頼の装備を届けに来たようだ。
髪飾りをおそるおそる両手に包むようにして差し出してきます。

一斉に頷く。

笑顔のまま、興味深げな2人を満足そうに見守る男。

　心の算盤を弾きつつ、頷いては相槌を入れている。メルンテーゼ出身の者も探さなくてはいけない。

　美しさについては間違いなく本心である。雰囲気から可愛さが目立つものの、落ち着けば立派な貴族の美しい令嬢と従者であろう。こういった原石を化粧品や石鹸で磨き上げることは男としても商売人としても喜びであった。

　背負った袋から掌に乗るような白い塊を幾つか取り出す。いずれも石鹸のようだ。香りがそれぞれ違う。杏に桜、桃、薔薇、などがある。

と、ヒナカはやや怪訝な顔を見せている。

ミルフィがシロをたしなめたのを見て、ヒナカも苦笑を漏らしながら杖を下した。