「一揆生活　△○日目」


　うちのお嬢様方もそろそろ他のエリアの情報が気になるのか、このまま水辺を進むか、それとも平原へ行くか。動くときが来たようだった。うむ、俺も流石にあの魚臭さは何とかしてほしかった所だし、ちょうどよかった。……魚臭くないか不安になりつつ、今回からは平原へと進むことにした。——ミラルカを除いて、新しいヤツを一人居れて。
　どうやら、一番最初に練習試合をした相手のパーティーの一人。どうにもこうにも、ネロがあの後向こうのPTのリーダーと懇意になり、ちょくちょく連絡の取りあいをしていた様だ。その結果、あちらのパーティーとこちらのパーティーで「連合/ギルド」を作ることにしたようだった。今回はそれのテストケース、ということで「花音」という名の少女がミラルカの代わりに入ってきた、というわけだ。
　……どこかで見たことがあると思えば、一揆の初日。ラルフとの試験前にぶつかった少女だったか？いいや、しかしあの時は大分人に出会ったからなァ。まぁ、尋ねてみるのも一興、か？
　くく、何にしても楽しい時間になりそうだ。
　
　
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　ぱたん、と東は日記を閉じる。背後には紅月とルークが仲良く並んで寝ていた。妖精のような２人が手を繋ぎ向かい合いながら寝ている様は愛くるしいもので、その光景に思わず笑みを浮かべている。
　
　「さて、今回も大分面白い日になりそうだ」
　
　「俺のカンが、そう告げている。
　　愚妹の縁を繋げる能力ではない、ただの俺のカンが」
　
　——これもまた運命か。最後に東はそう呟くと二人が寝ているベッドに向かって歩を進めた。自分のベッドに腰を掛ける前に、東はふと立ち止まり寝ている二人を見つめる。
　布団をそっとかけ直し、改めて東は眠りにつくのだった。
　
　——おやすみ、ゆっくり休めよ。

うんうんと重曹は頷いた。
実際のところ、不敵な笑みを崩さない少年の心など読めるわけもなかったが、
その行動が証明しているようなものだ。

粉は少年の肉眼では確認できない程の速さで四散した。
気配も徐々に遠ざかっていくのを感じた。