「ぼく」の日記
今日もいい天気です。まあるいおひさまがぴかぴか光って、とってもとってもあったかいです。
というか暑いです。現実から逃げたくなるぐらい、あついです。
季節は夏真っ盛り、といったところでしょうか。あおあおとしげった草木が、われこそはいわんばかりにせいくらべをしています。
そんなに背伸びしなくてもいいのになあって、思います。
でも、ぼくももっと背が高いといいなあって、つねづね思っているので、うらやましくもあります。

天気がいいと、「ええじゃないか」もうれしそうにしています。
具体的には、人数の増え方がすごいことになります。爆発的って、こういうことを言うんだと思います。
「ええじゃないか」が実際どういう風に増えているのか、あまり見たことがありません。
お札を手に取ると、取り込まれるのは知ってます。それは、何回も見てきましたから。
でも、たぶん。「ええじゃないか」が増える方法って、それだけじゃ、ないんですよね。
いったい、どうやって増えてるんでしょうか。ぼくが知っている、増えていたときの状況を、書き出しておきます。
１．天気がいいとき
　　とくに、あったかくて、おひさまのぼっているときに、増えている感じがします
２．お祭りがあったとき
　　「ええじゃないか」自体がお祭りさわぎみたいなものですけど。
　　何かお祭りや、イベントがあると、増えます。明らかに数が、多くなります。
３．道がふさがれているとき
　　前に進むために人手が足りないときは、とくにわかりやすいです。ろこつに増えます。
４．その他なにかあったとき
　　別になにもないときにも増えてる気がします。よくわからないです、結局のところ。

書き出してみてあらためて思うのは、よくわからないなあ、ということで。
べつに増えっぱなしということもないみたいなのですけど。
なぞがふえるばっかりで、なんとなく、困ってしまいます。いつものことでは、あるんですけどね。
そういえば、このまえにやっつけたオオカミさん、えづけに成功して仲良くなったんですけど。
なんだか姿が見えないんですよね。
どこに、いっちゃったのかなあ。野生にかえっちゃったのかも、しれませんね。

あ、食べてはないですよ。食べては、ないですからね。ええ。


・今日のかみさま
こかげでかき氷たべてるところをみかけました。
前々から思ってたんですけど、かみさまってあんがい、俗っぽいんですよね。



「教授」の日記
「ええじゃないか」には謎が多い。いや、謎だらけである、と言った方がいいのかもしれない。
「ええじゃないか」とは人の集まりである。しかしその一方で、私はときどき、彼等はもはや人ではないのかもしれないと思わされる時がある。
その根拠の一つとして、「ええじゃないか」の多様的曖昧性をあげることができるだろう。
「ええじゃないか」は曖昧である。しかも、いちいち挙げるのが馬鹿らしいほどその曖昧さは多様性に満ち溢れている。
特に顕著なのは、「ええじゃないか」を構成する人員の数的曖昧さである。
基本的に、「ええじゃないか」は日々増え続けている。確定的な増加要因は、「神符を手に取ること」であり、その他の要因は不明である。
不明ではあるが、私が帯同し、確認している限りでは、他の要因で人員が増加している様子は見られない。
見られないのであるが、あきらかに増加している。人がいる地域を通り過ぎるときに増えるのは、理解できる。
だが、人と出会うこともない、獣道や木々の隙間を駆け抜けていくだけの日に人員が増えていたときは、さすがに目を疑った。
むろん、増加しているだけでなく、減少しているときもある。これも理由は不明だが、深夜から早朝にかけて激減しているときが何回か見られた。
記録者として、可能な限り確実な人数を記載したいとは思うのだが、このような理由から、私は早期に人員数の記録を放棄している。
「ええじゃないか」は人の集まりであるが、果たしてそれを成り立たせている「なにか」は人の手に収まるものなのだろうか。
この曖昧性が、一体何を意味するものなのか。興味は尽かない。