昨日は俺の旅の中でも不思議な日だった。
シルフのサスケ、ケット・シーのプチ、そしてキー坊。
今までヴィルメッタと二人で旅をしてきた。
それが突如として大所帯（俺基準）になったのだ。
なんつーか、ちょっとびっくりしてる。
いつまでこいつらと一緒にいるのか、それはわからんが…賑やかなのも案外悪くないのかもしれないな。

…ふむ。
そういやどっかで「旅は道連れ」とかいう言葉を聞いたことがあるな。
いっそ他に仲間にできそうなやつがいたら誘ってみるか。
そのぶん俺が楽できるかもしれん！

話しかけられたことが意外だったのか、ケンドリックは眉を上げて少年と妖精を見返した。
しばし思考していたが何かが琴線に触れたらしい。
へらりとしたゆるい笑みを浮かべ、のんきな語り口でキーシュへと歩み寄る。

うそぶく彼を隣に浮かぶヴィルメッタが半眼で睨みつけた。

相棒に不意打ちを食らい決まりを悪くするケンドリック。
頬を掻きながら、まあこんな感じで、と続ける。

ケンドリックは気軽に手を差し出した。
言葉も態度も軽いが、その手はずいぶんと長い間旅をしてきたことを告げていた。

傾けた帽子からキーシュにニヤリとした笑みを覗かせる。
満足気なケンドリックが手にした鞭を大きく地に振り下ろすと、広庭に乾いた音がこだました。
開戦だ。