（特にネタが浮かばない）

タイミングを合わせて……今だ！

対峙する魔物達の攻撃にタイミングを合わせて、全身の毛を限界まで伸ばしパラシュート状の形態を取る。
スィーと毛に潜ってる子へはぐれない様にと細い長毛を巻きつけると、魔物達の攻撃を真正面から直撃させると大爆発を起こす。

大爆発の衝撃を使い、自らの身体を弧を描く様にして空高く吹き飛ばし、凶暴な魔物達からの戦闘を脱する事が出来た。

……直撃した衝撃を動力に変え、その動力と勢いで一気に空へ舞い上がり、敵との戦闘から逃げ出す……
これがボクの切り札の一つの『捨て身の逃走術』である。
どういう概念かは知らないが、この切り札を切れば大抵の戦闘からは逃げ出す事が出来るという優れものだ。

……ただ問題があるとすれば。
捨て身になる事が必要なだけに、これを使うと後の状態が確実に瀕死の状態になるのが難点という所である。


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ボク達はあれから、魔物が居なさそうな地点へ着地すると近場の木々の窪みの中で休息を取っていた。
ボクは再びボロボロになった身体でぐったりと横たわり、先程の戦闘の事を少し考えていた。
予想外の戦闘だったとはいえ、流石にあの質量での連戦は辛い。
あれだけの数の戦闘となると一人で戦うのは無謀と悟り、今後は如何すべきかを頭に巡らせる。

横になったままの状態で色々思考していると、スィーが心配そうに声をかけてきた。
二度もボロボロになったボクだが、スィーともう一人の治療と看病のおかげで大分傷も癒えてきていた。

…もし、ボク一人の時だったら多分このまま冷たくなっていただろう。
こんな弱いボクに着いてきてくれる彼女達には感謝してもしきれない。

ボクは殆ど傷は治ったから大丈夫だとスィーに伝えると安心させようと長毛を動かして頭を撫でる。

撫でられるスィーは少し照れながら笑顔を見せた。
暫くの間をこうしてじゃれついていると、外から帰ってきたもう一人がその様子を見て声を上げた。

スィーが撫でられているのが余程羨ましかったらしく、スィーに向かってうーうーと唸っている。

見た目一見して妖精と分かる彼女……
名前は【リューン】と言い、この森の外れにある妖精の集落に住んでいた最後の一人らしい。

彼女の話によれば、妖精の集落は今はもう妖精一匹も居ない廃村となっているようだ。
今回の一揆により、集落の妖精達は挙って一揆参加者へと向かってしまい、
リューンが最後の一人になるまで集落に残っていた。

……それで、流石に寂しくなったのか。
集落に一人残っていても仕方が無いと集落から出たのはいいけど、そこで活性化した魔物に見つかってしまい……
必死に逃げている所で、運良く(？)森を彷徨うボク達を見つけて思わず助けを求めた……
というのが、今回の一端らしい。

全く傍迷惑な話だが、リューンを見ると全く恨む気が起きないのは彼女の本質だろうか。

ちなみにだが、いつの間にかボクとリューンは契約を結んでしまっていた。
思い当たる点が浮かばないが、
もしかしたらリューンが、ボクの毛の中に飛び込んだあの時に契約が成立してしまったのだろうか…。

この世界の契約手順が割りと安直だったり簡易的だったりと、正直さっぱり良く分からない。
その手軽さは【簡易式呪術契約書（セルフギアススクロール）】を彷彿とさせる。

ボクはぼんやりと考え事をしていると、その傍で二人が何やら騒がしくなっていた。

…………あかん（滝汗）

初対面での印象がアレなだけに、この二人の仲が悪い。というより、相性か？
真面目なスィーに、リューンの余計な一言でスィーの怒りのボルテージが上がっていく。
ううーん…こういう時は如何すれば…。ボクが二人の事で悩んでいると傍で二人が威嚇し始め出した。

…………あかん（涙目）

今まで対人経験がほぼ皆無だったボクに、女の子二人の喧嘩の仲裁なんてそんな超々難易度なクエストをこなせる訳が無い。
一体如何すればと慌てるボクを余所に、二人が開幕の一線を切ってとうとう言い争いをし始めた。

ぎゃーぎゃーと傍で聞くに堪えない口論を繰り広げる二人にボクは……最早考えるのを止めた。
こうなると下手に止めに入るのは自殺行為と何処かの誰かから聞いた気がするからだ。

それに二人の様子から見て、取っ組み合いの喧嘩にまで発展はしなさそう。……しないよね？
とりあえず今は好きなだけやらせて、後で二人のフォローをしておこけばいいか。
何だか疲れたよパトラッシュ……ボクは早めに身体の傷を完治させる事に専念しよう。

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毛を逆立て警戒（？）するけだまさんに、「コワクナーイ、コワクナーイ」と近寄る人形。

十分不審者のノリだが、言葉通り、人形の方には炎の気配はないようだ。

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一方でフェアリーさんとのコンタクトに成功した召喚士エル。

フェアリーさんもかわいいですねぇ…と独り言をつぶやいたりもしているが、

フェアリーさんの頭を優しくなでなでしてご満悦のようだ。

長いようで短く、短いようで長い時間が終わり、ほっこり満足なエルなのだった。