その催しのことを知った時、そう思わずにはいられなかった。


〜〜〜〜〜サマーバケーション参加に至る経緯・カルルカレンの場合〜〜〜〜〜

そもそも、私やお嬢様の故郷は氷山にある村である。
夏は短く、冬は長くて厳しい。
殆ど人間がいないのもまた、その過酷な環境故に当然のことである。
何故そんな極地が王都からそう遠くない所にあるのか、と言うのはなかなか謎ですが。

それはさておき。
何が言いたいかと言えば、そんな環境だと夏でも涼む必要が全くありません。
むしろ多くはないが、避暑地として涼みに来る旅行者もいるくらい。
水着も、上質の布を使った水浴び用の衣服がある、程度は知っていたものの、実物を見たのは兵士たちが身に付けていたのを見たのが初めてのことである。
あれは視覚的にはこっちが被害者と言いたくなる遭遇戦でしたが……。

そんな害悪であった兵士達だったが、一ついい事に気づかせてくれたことは僥倖でした。
すなわち「夏で水辺なら、下着のような格好でも合法」ということ。
対象が兵士だから悪かったのであって、お嬢様が着飾るならば、それはとても可愛らしいことに間違いないだろう。
これは是非とも、そういう場を用意しなくては！


そう考えていた矢先の、「サマーバケーション」のお知らせ。
これしかないくらいに、いいタイミングでした。
多くの人が集まるお祭りならば、それなりに得るものもあるでしょうし、何よりお嬢様が喜びます。
ならば是非も無し、出ない理由はありません

これは断じて遊びだからという訳ではなく、あくまで知見を広めるため！

自らの服を叩き、汚れをあらかた落とすとツグミの頭や顔を撫でた。……砂にまみれている。