草一つ生えていない不毛な大地を歩く。

　つい先日までいた小川と気候が全く違うのだけど、この城の敷地は一体どうなってるのかしら。

「暑いわね……」

———脱〜げ〜ば〜いいのに、脱〜げ〜ば〜いいのに、みんな（ねーちゃん）脱いでしまえばいいのに〜♪

　……無視しましょう。

———放置プレイだねっ！　よーし、指示が来るまで待っちゃうワン！

「一生待て」

———きゃいんっ！？
ま、ジョークはこのくらいにしといてっと、ここってそんなに暑いの？

「ええそうね。全身に冷却魔術かけてなかったら、じっとしていても汗が止まらなくなる程度にはね。
貴方、そういうのわからなかったかしら？」

———いやほら、ボクでも気候状態の感知自体はできるんだけど、感覚的にわかんないからさ。

「変化した時はどうなの？」

———アレは別に実体があるわけじゃないからね〜。魔力ふんだんに使って、視覚効果やら触覚効果やらをゴマかしてそれっぽくしてるだけ。

「ふ〜ん」

———ボクはねーちゃんと一緒にいれればそれでいいってばぁ〜。元の身体にこれっぽっちも未練なんてないし。

「別に、何も言っていないでしょう？」

———そういうことにしておくね。
……あ、でも、もし元の身体があったら、鏡とウィッグ準備するだけで色々と妄想が捗

「（サクッサクッ……）」

———あれ？　何でねーちゃんボクを埋めてるの？　あ、皆まで言わなくてもいいよ、わかるから。放置プレイの続きだよね。
って、あるぇ〜？　何で無言でそのまま歩いていくの？　前みたいにジョークっていうオチでしょ？
ああっ！？　もうねーちゃんの姿が米粒みたいに小さく！？　ちょ、調子こき過ぎてました、許してくだしあっ；；（シャイニングウィザー土下座）





「……あら？　オアシスがあるわね」

———どーせちょっとくつろいで行くだけなんでしょー、つ〜ん。

「いや、まだ何も言ってないわよ…。そもそも、つーんって口に出して言うことでもないでしょう…」

———でも、これって根本的にくつろいでいくだけなんですよね。

「霧が濃くなってきたわね…。まあその、ちょっとだけ浴びていこうかなって…」

———え゛っ！？　今なんて！？

「す、凄い食いつきね……。いやだからその……ね。この暑さとかさっきの戦闘で、ちょっと汗かいちゃったし、ちょっと水浴びしていきたいなぁって……」

———んん〜？　聞こえんなぁー！！

「だからっ、水浴びしたいなって言ってるのよ、あたしがっ！！」

———キマシタワー！！

「き、急に叫ぶんじゃないわよっ！」

———だって水浴びですよ水浴びそりゃもう桃源郷のようなキャッキャウフフですよもうこれほんと他に同行してる女性キャラがいないのが悔やまれるっていうかだってそうでしょもしいてしかもちょっと活発で明るい感じの娘だったりした日にはもう１００％女の子同士なんだからよいではないか〜的なイベントが起きちゃう事請け合いなんですよちょっとどこ触ってんのよそれなりに手に収まる感じでよいですなぁ的なねもうそんなシーンを想像しただけでボクなんてもうっもうっ……！！

　しゅるっ……。

———来ました衣擦れ音、もはや定番だよねこれ！　あ、あれこれ何か違うなっていうか…何でボク魔力遮断する布なんて巻かれてるのかな、かな？
だってもうこれサービスシーンの流れでしょ、流れですよね？
むしろここでサービスシーン無かったら、読者様大暴動ですよ、平和な星での暴徒鎮圧が防衛隊時代の任務で慣れていても無理なレベルの暴動起きますよ？
あ、段々外の様子がわからなくなってきた…よ……。