この世界は面白い。
本来ならば物言わぬ生き物達が言葉を使い
生きている。
私のように長い年月を経て
気がつけば力を得てきたような妖の類でもない・・・
それらが普通に存在している。
捕食する側、される側
そんな生物としてのヒエラルキーを無視して
拠点防衛の名のもとに
協力し合っている。

これはこれで・・・良いのではないか？

ふと・・・戦いの中で
感じた疑問。
だが、この世界の住人たちにしてみれば
動物が言葉を使い自己を主張する事も
食物連鎖を無視している事も
当たり前の事なのだろう。
それが普通。
彼らは『物を言わぬ物』を選んで捕食しているのだろうか？
『物を言う者』も狩りの対象として捕食しているのだろうか？

まぁ、過程は気にしない方が良さそうだ。
おそらくそれが『この世界の暗黙のルール』

美味しく口に入れば
問題ない。
酒の肴として出来が良ければ
尚良し。
としておこう・・・

後ろに視線を動かすと
私の連れが騒いでいる。
『連れ』と言うのも違うか・・・

私がこの世界に滞在するために
依り代としている人間。タケト。
奴は真っ直ぐだ。
様々な色を纏い、可能性という道は無限にある。
このまま真っ直ぐ行くのも良いが・・・
少し周りを見る事も覚えさせよう。

柔軟さが無ければ、すぐに折れてしまう

白は他の色に染まりやすい

折れ曲がって黒く落ちてしまわぬように・・・

私の視線に気がついたようだ。
ノンキに手を振っている。

どれ・・・
社会勉強をさせてやろうか。