四日目

今日もケット・シーと戦う事になった。

１回きちんと戦ったのと、エンブリオ自体が増えたこともあって結構さっくりと勝つことが出来た。

また契約しよっかなと、思ったけどケット・シーが２匹になったらアニマが仲間はずれになる気がプンプンしたので

気絶しているうちにかるく治療して木陰に逃がしておいた。

治っても戦い挑んじゃダメだかね？怖い人ばっかりだからほんとに。

軽く頭を撫でて今日まできた道を戻り始めた。

どうやら別の道に行くには一旦戻らなきゃいけないらしい。すんごいめんどくさい。

なかなか距離があるし結構な時間がかかるんだろうなぁと思ってたけど、道を憶えてるからなのかあっさり戻れた。

三日間は一体何だったんだろう…。


気を取り直して水辺の順路にそって歩いて行く。

途中戻っている人とすれ違った。

あの人達もたぶんわたしと同じようなことを考えてると思う。そんな顔してる。

あっぶない目が合いそうになった景色を見てるふりしようよかった気づかれなかった。

ふぅ。



ちょっと空気が冷たくなってきた気がする。

どういう所かわからなかったので念のために多めに服を持ってきてる、

というか着込んでるのでここのところちょっと暑いなと思ってた身としてはとても助かる。

水気を吸ったのか少し服が重たくなってるけどどうでも良くなるぐらいには心地いい。

ずっとこのまま水辺の道進んじゃおっかな。



道が小さな土手につながる。その横に小川が流れていた。

さやさやと流れる川の音ががとてもきもちいい。

ここは散歩道として開放したらたぶんものすんごい人気出ると思う。

流れる水のきらきらとした光の隙間から魚の泳いでる姿も見える。

今日のごはんは草のみじゃなくて済みそうだ。ぐふふ。


道がすこし川から離れる。ここだ。ここならいける。

どうやらこの付近の市ができる場所からはすこし遠い。

けどだからこそ周りに人はいない。

がさがさと草木をかき分け川原に向かう。どうやら都合よく向こう岸に渡れそうな浅瀬があるようだ。

まーべらーす。

夜とか水浴びしてる時とかに道側からヒトが来たらびっくりするので念のため向こう岸で夜を明かそう。

ブーツを脱ぎ、エンブリオたちを持ってそそくさと川を渡る。

ちょっとスカートとドロワーズが濡れてしまったが、せっかくだからあとで洗うことにしよう。

さて暗くなる前に薪を集めて魚を釣らないと。早めに寝床決めてよかった。



薪が湿っていたせいですこし時間がかかった。火のそばに次に使う薪立てかけて乾かしておく。

薪探しの時に見つけておいた釣竿代わりの木に服の修繕用の糸を付け、小物入れの中の糸を結ぶ。

水に浸かった大きめな石をひっくり返し、へばりついてる手頃な虫をつかまえて餌にして川へ投げ込む。

む、今投げ込んだところ道側からは隠れるな…。あそこでなら水浴びできそうだ。

なんておもってるうちにふぃーっしゅ！

火起こしに時間がかかったおかげで魚の食いつきのいい時間帯に当たったなこれは。

もっかいふぃーっしゅ！

へっへぇ…！こりゃ今晩はうたげですぜダンナ！もう一匹ぐらい釣っておいて干物にしとこう。



そう時間もかからないうちに最後の一匹も釣れて早速晩餐の準備に入る。

魚のワタは苦手なのできちんと取った。

おばあちゃんにはきちんと食べなさいって言われてたなぁ…。でもむりでーす。

一匹は鍋に入れて一匹は直接火にかける。

調理(待つだけ)が終わるまでに服を洗っておく。

ほぼ一張羅なので重ね着のうち数枚だけは念のためとっておく。

とっとかないと乾くまで下着でいなきゃいけなくなってしまう。

家の中だったら一日中そんな感じでいることもあるけど流石に外じゃあむりむりだ。

よーしぴっかぴか！

うふふこれで明日には心地よく服が着れるぞぉ。やったねソレルちゃん！

ついでにそのまま水浴びしちゃえ。

いっちゃうぜ！そのまま川にだっぽーん！

ちべたいいいいいいいいい！！

やばい！手だけじゃわからなかった！さむい！冷たい！さむい！

ででででも入っちゃったからにはきちんと洗っておかないと。

ひいいいいいいい！

あーだめだ…何も考えてなかった…。

川の水冷たい…体拭くもの出すの忘れてた…はだびずいっばいでる…。

でも今荷物に手突っ込んだらなかがびしょびしょになってしまう。

もふもふした者たちに頼ろうかと思ったら明らかに距離を取られている。

そうだよねさむいのやだよねウンわかる。

明日川渡る時運んでやらんぞ！

うー…火焚いておいてよかった…。対岸なのも良かった…。

こんなところですっぽんぽんなの見られたら即首吊りモノだ。

でもまだマシとはいえ状況は変わりない。

火、あったかい…。さすが人類の英知。

まだ濡れてるけどすっぽんぽんではいたくないから早めに下着だけ着る。

着て、また火にあたっているうちに魚がいい感じに焼けてきた。

焼き魚とスープを皿にうつす。うつしながらスープをつまみ食い…飲み？する。

体の芯から温まる。今日ほど野菜スープを作っていてよかったと感じた日はない。

しかも今日は魚味。いい…まーべらす…ふぁんたすてぃっく…。



食べ終わった頃にはある程度体も下着も乾ききったので荷物からだした布できちんと体を拭き、洗わなかった服を着る。

髪としっぽはまだまだ当分乾かないだろう。

髪は服が濡れるだけだけど、しっぽは水吸って重くなってるくせに地面についちゃうと石を巻き込んでじゃりじゃりになってしまう。

なのでしっかり布で包んでそうならないようにしておく。

洗った服は火の粉が当たらない程度に話したところに干しているがまだまだ乾きそうにない。

これはなるだけ火が消えないように気をつけたほうがよさそうだなぁ…。

厚手の毛布にくるまり、夜更かしすることを決めて本を開く。



結果、あらすじを読み終えた所で寝た。



五日目

相変わらず早起きをしてしまった。

服は案の定生乾きだ。

乾くまで待って遅めに出発するしかない…。

昨日の残りのスープを温めなおして飲む。おさかな力すごい。しあわせ。

あとは乾くまでぼーっと川を見ながら過ごす。



そこでふと気づく。

さっきから向こうにやたら綺麗な人がいる。

目を合わせちゃいけないかなと思っていたんで視界の端に捉える程度だったから絶対ではないけどどうも羽ついてるっぽい。

まあ、そういうヒトもいるかなぁと思ってたんだけど更に視界の端でちらちら見てたらどうやら下半身も鳥っぽい。

ま、まあそういうヒトも…いるけど…もしかしてエンブリオじゃないですあれ？



うわっきた！

３ｍほどの魔導アーマーに乗った小人がカレーの勧誘に現れた