抱きしめられ、尾に巻きつかれながらはじめに思ったのは、ピアさんと感触が違うなあ、という安穏なものだった。
　もはや身体中のどこを見ても、青い女の子と触れていない部分のほうが少ない。

　拘束されているにも関わらず、ポポロの声色はどこか楽しげだ。
　そして耳元で囁かれると、表情を緩めて青い女の子の肩に少しだけ寄りかかり、

　などと意味不明なことを呟く。
　そして、何かを思い出したように「あ」と声を漏らしてから、

　ポポロの吐息で、青い女の子の後ろ髪がふわりと揺れた。

つややかで弾力ある、若干ぷよりとした触感。水に濡れそぼった表面はより輝きがあり、同時にどこか異質さを感じる。

「偽（ギ）……と云います。異世よりメルンテーゼに舞い降りました。現在探し人を捜索しながら、一揆に参戦…と、この世界に在住しています」

尻尾に触れるのはもう良いのか、後ろ歩きに万已楽から離れる。後に、万已楽と目線を合わせるようにしゃがみ込む。
ややぶかぶかなネコミミ帽子が目元に落ちる。

「あなたの名前は何というのでしょう……アンドロイド、さん？」

人魚型の、と。付け加えようか迷って一言で片づけた。

「この世界にはない素材で作られてるようで……あなたも異世から……？」

　黙ってしまった万已楽を訝しげに見ていたが、

　"敵"と冷たい声で言われ、つい大声をあげてしまう。

　大慌てでぶんぶんと首を振りながら否定するが、そもそも何故そんなことになったのかは全くわかっていなかった。

挨拶を返すも、登場の仕方や相手の持つ雰囲気から不思議がる様な表情をしつつ、すぐ笑顔になります。

植物はそう言うと、ふぅ、と溜息をつきます。

戦闘が終わるや否や、物を蹴るかの如き容赦の無さで、倒れる兵士の身体を蹴りつける。
それが呻き声を出せば、少しの沈黙の後に。