唸り声。会話が出来ない事に困っている姿は、最近とてもよく見るだけに。
何やら多少違うリアクションだ、と眺めており。だから、次に彼がとったジェスチャーに、こく、こく、と頷いた。

とりあえず此処に立っていてほしいらしい。お願いの仕草までされたら断る気にもならない。
もともと急ぐわけでもないのだし、と彼が戻ってくるまで…30分程度なら待つ覚悟——ではあったが、案外あっさりと戻ってきた。

戻ってきた彼が手にとっていたのは折り紙。折り鶴。奴。折り紙に詳しくない人間でも折れるような初歩中の初歩。
おりづる。やっこさん。
その名前の響き自体はさっぱりわからないが、たぶん、鳥の方が折り鶴という名であり、人のほうがやっこさん、と呼ぶのだろうという事は理解できた。
もしかして、これは、折り紙を折れば良いのだろうか、と。
差し出された一枚を素直に受け取れば、うーん、と何かを思案するように空を見上げて首をひねり。

慣れた手つきで、簡単なものを、と。幼い頃に作ったパクパクを完成させれば指に嵌めて。…鶴や奴を持つ、彼の手を、作ったものではさもうと。

はっはっは、とわらいながらサングラスをとる。
どうやらヤクザじゃないらしいですよ？

小さなメモ帳を取り出して、何かを書き込む

（※急な帰省により前回メッセが全滅しました　申し訳ありません）

（流れる汗を拭うと、野菜は意外と流暢に喋った）