4.魔王の祝福と神の呪い

覚醒した瞬間、最初にあったのは激痛だった。
それは神の呪い、生かされているのだと実感させられる呪い、貴様は死ぬべきだとでも言われているような、そんな痛み。
結局、神は要らぬものしか与えはしない。

どれくらい経っただろうか？周囲にあの魔物たちはいない。
存分に私の身体を喰らい、次の獲物でも探しに行ったのだろう。
慢心ゆえの死とはいえ、この復活の瞬間だけは魔王様を感じることができる、それが嬉しい。
身体の修復はまだ不完全だが、服によってなんとか隠せる程度。
周辺には土塊が転がっていた。枯れた土地とはいえ以前は人がいた場所か、まったくもって嫌な場所だ。
桜は微笑みながら起き上った、。

・・・

この世界は可笑しなものだ。
誰の意思が動いているのだろう。何者に生かされているのだろう。
人の営みの理は同じだ。
傷つけば死に、癒せば生き、人を人が支配し、魔は恐れられ、神は気取る。
エンブリオは一体何なんだろう。

答えは出ない、ただ思うのはここに魔王様はいなくて寂しいな、それだけ。

歩きながら思いふけていると、影を捉えた。
不意打っても良かったが、声をかけることにした。

トキサメと名乗る、いや名乗ってはいないが勝手に自己紹介している。
忍び足の構えから大声をあげている、おかしな人間だ。
「見られてしまっては仕方が無い」そういって襲いかかってきた。

魔物ではないのか？
いや、魔族や魔人の線は消せないか。人なら良いな・・・。

トキサメと名乗る黒ずくめの人間が現れた。
急に脅すように声を荒げたので、馬鹿にしたように対応する。