教団の御者との話も終わり、私達は城下町の近くの川辺へで少し休むことにした。
先程の事や、新王の事、今後の事など、少しリヴァランと話しておきたかった。

私とリヴァランは川辺の木陰に座りこみ、ノエミとヘリヤは川で遊び始めた。


「リヴァラン、先程の事ですが・・・・・・。」
「ん？どの事だ？・・・ああ、お前にしては珍しく強気に出たな。」
「そ、その事ではありません！！」

確かに我ながら思い切った行動だったかもしれない。
正直今思い返してもあの時の教団の御者の目は、とても怖くて足が震えていた。
でも子供達を置いていく事なんて私にはできなかったから
あの判断は正しいと思っている。

それよりは今後の事についてだ。

「・・・・・・新王の監視についてです。
　やはり教団も新王の事を危険視しているのでしょうか？」
「そっちか・・・どうだろうな、あいつらは自分の利益しか考えてないだろうし・・・。」
「・・・・・・。」

自分達の利益のために・・・。
やはり、話を聞くにつれ教団への疑惑は増えるばかり。
確かに孤児院に支援してくれて助かる部分もあるのだが、
リヴァランの言う通り、それも利益になるからなのでは・・・・・・と。

「なるほど・・・わかりました。」
「・・・あまり一人で思いつめるなよ。」
「ええ、ありがとう、リヴァラン」

とりあえず、教団の事は今は置いておいて、むしろ問題は今後の事だった。
監視といえど、相手は新王・・・危険である事には違いないだろう。

「それと、ノエミの事です・・・。
　あの子はこれ以上連れていくのは危険だと、私は思うのですが・・・。」
「・・・・・・それを俺に聞くか？」
「貴方なら、ノエミの練習などに付き合っているので、彼女の腕をよく知っていると思って・・・。」
「そうだな・・・腕は子供達の中では悪くはないと思ってはいる、筋がいいしな。」
「・・・そうですか・・・。」

それならいいのだろうか・・・。
私はノエミを危険に晒す事だけは正直一番したくなかった。
他の子供達もそうなのだが、あの子だけは特に・・・・・・。



「大体はわかりました。
　貴方が話を聞いてくれて、本当に助かります。」
「・・・まぁ、聞くだけだけどな。」
「ふふっ、それでも助かります。」

あとは・・・・・・。


———バシャッ！

話をしようとしたら、突如水をかけられびしょ濡れになってしまった。

「あははは、マリア面白い顔。」

犯人はヘリヤだった。

「・・・・・・ヘリヤ。」
「うわっ、マリアが怒った！」
「・・・まったく、もう。」
「マリアも川で遊ぼうよ、楽しいよ！」
「・・・遠慮します・・・ちょっと馬車に戻って着替えてきますね。」
「ちぇーっ」
「・・・・・・ヘーリーヤー」

ヘリヤが後ろを振り向くとノエミがゴゴゴゴという音が聞こえるような感じで怒っていた。

「な、なんだよぉー！？」
「マリア様に何てことを・・・！」

———バシャッ！

「ひゃああーっ！！？
　くっそーやったなー！！」

———バシャッ！

・・・・・・・・・

・・・・・

・・・

しゅんと項垂れる。争いは嫌いなようだ。

当然そう簡単に見つかるわけもないのだけれど、見かけないと言われると少し心細くはなって。

見かけよりは随分大人びたような話し方をするけれど、慌てる様子は子供のもの。ぱたぱたと両手を振って。

あまりシスターというものに馴染みがないらしい。軽く小首をかしげた。

焦りを隠しつつ平静を装った振りで