広庭を歩きながら薬草を探す。
とりあえず2種は見つかった。
残りは1998種か…。

俺は元の世界でやることがある。
俺を待っている人がいる、俺の力を必要としている人がいる。
だから、いつかは帰らなければならない。
…が。

ちらりと、隣を見る。



今、俺と共に旅をしている男—スナイプロア。
彼と知り合ったのはここメルンテーゼではなく、別の世界だった。
彼が同行者を募っていたところに、俺から声をかけたのが、知り合ったきっかけだったと記憶している。

その世界は混沌としていて、人斬りも多く物騒だった。
俺1人では生き延びれていなかったかもしれない。

いつの間にかあの世界から追い出され、強制的に別れることとなってしまったが、まさかまた会うことになるとは思わなかった。
俺にしてみれば、これほど嬉しい偶然はない。
見た目は多少変わったが、性格や言動に大きな変化は無いようだ。

…ともあれ。
あの世界で共に旅をしていた期間は1ヶ月足らず。
この世界で共に旅をし始めて4日。
仲は良いが、ともに過ごした時間は実はそう多くはない。
だから俺は、彼のことをほとんど知らない。

さて、そろそろ出発の時間だ。
今日も彼とともに、ひと暴れしてくるか。