「さて、平和になったところで近況報告と行きましょうか」

　ゼルダとレコを追ってリオが走り去った後、ロザリアは堂々とした笑顔で言ってのけた。
　シャンテから向けられるジト目など気にする素振りもない、問い詰められてもあらゆる理由で切り返して見せることだろう。

　：：

　———暫くして。
　居間の長椅子に腰掛けながら、面々はほぼ雑談と化しつつある言葉を交わしていた。

　完全な密室となっているテントの中、外から差し込む光はない。
　内部に設置された灯りだけが闇を押し払い、局地的にぬくもりのある空間を作り出している。

「……まぁ、反乱なんて、生きるのに支障があるからこそ起きて然るべきですよね」

　コーデルのコメントは、現地組が置かれた状況に対するものだ。

　本来、仕事で遠出する場合、滞在の経費はクライアントに請求するのが筋となる。しかしこちらに契約としてかけられるペナルティもない以上、自給自足を求められるのも致し方ない部分があった。
　むしろネクターの提供をその『経費』だと思うべきなのだろう、呼び寄せられた人数と、目的を達するための期間を考えれば、確かにその方が合理的だ。

「仕事は仕事だけど、ただでさえ困ってる人に現物支給を要求するのもね」

　妥協はいつものことよ、とロザリアが語って、コーデルもそれに頷いた。
　外様である以上、これ以上かけられる言葉はない、出来る事があるとしたら、次の差し入れ時に、少し気を利かせるくらいだ。

（※区切りのいいところまで間に合わなかったので続きは次回）

（おこちゃま、という言葉にやはり無表情に近い顔に、微かに感情らしいものが滲む）

（さらに重ねられた言葉に、明らかに薄く感情が上乗せされた。警戒心に加味して、苛立ちのようなものが）

うんざりした様子で歩いてきた女性は、空に浮かぶうさぎをそっと捕まえた。
ふとそのうさぎを見つめる少女の目線に気づいた女性は、瞬時に表情を変えて少女に微笑みかけた。