【エピソード0、その２前編】

【ジャックの手記、1】

あれから一度実家に帰った後、俺はこの元素の世界メルンテーゼという場所に足を運ぶことにした。
理由はなぜかだって？セルフォリーフのように観光目的ではなく、ちょっとした調査のためだ。
こういった他の世界の地質を調査し、俺の世界の地質と比較し何が違うのか
その違いによってどんな生命の輪ができるのか？そういったことを調べ、より世界に貢献できるものを生み出す。
それが代々ファイン家に続く仕事だからだ、とはいえ、異世界まで調べるのは俺の代が初めてなので
実質未曾有の領域に達していると言ってもいいかもしれない。

最初は日夜高まっていくこの世界の国民不満度によっての影響で、現地の人を説得するのに苦労する場所もあったが
おおむね順調に調査は出来ていた。
しかし、このメルンテーゼに着てからというもの、なぜか体に疲労感を感じるのが早い気がする。
いつもはこの程度では疲労を感じないはずなのに・・・・

【ジャックの手記、2】
最近では風を引いてしまったのか、せきをする事が多くなってしまった。
熱はいまのところなく、めまいなども無い。体に寄生虫が入ったのかと、虫下しを飲んだがその気配もなし。
まあ、頭はまだ正常に働くし体はまだ動けるので薬が切れるまでは頑張ってみよう。
体調管理はしっかりしていたつもりだったのだが、油断してしまったのだろうか
我ながら情けない。

【ジャックの手記、3】
まずった。いや、タカをくくっていたというのが正しいな、これは。
あれから日数が経つにつれ、体に振るえがきたり、めまい、得体の知れない嘔吐感
極めつけは口から虹色のような液体が出たことである。あまりにおぞましくて
吐き出した後に土に埋めて見えないようにした。
早いうちに小さな病院のお医者さんから進められた大きい病院にいかな・・・（筆はここでいったん止まっている。）

【ジャックの手記、4】
気がつけば俺は病院のベッドの上にいた。
あたりは負傷者が多いのか、看護師たちとけが人のうめき声がけたたましかったのを覚えている。
目がさめて目を開くと、看護師さんが気づいて「起き上がれますか？」と声をかけた。
なので早速身を起こそうとすると、何かがおかしい・・・俺の手が異様に小さいのだ。
手だけではなく、足も・・・いや全身が小柄になっている！
この病院に運ばれてきたときには、すでにこの姿となっていたと聞かされた俺は
すぐさまトイレにある鏡を見に行った。そこには確かに・・・・俺の若いころの姿をした俺がいた。

その証拠が、頬に再び出来ている傷であった。　もしも、肉体だけが縮んでしまったのなら
この傷は存在しないはずだ。以前消したのだから。
とにかく、このままではまずい・・・これはもう一度帰らなくてはならない。
体は小さくなってしまった事以外は健康そのままだったが
このままでは危険だ、と俺の直感が告げていた。

【後編へ続く。】

目の前の現実に、そっと溜息を吐いた。

“人探し”の件を憶えていた事に、心底感心しているようだ。

ジャック君の毛布に包まれると、震えはピタリととまり、鼻水もすぐに引っ込んだ。

どうみても目を瞑って寝ているが、毛布にくるまりながらトコトコと歩きまわる姿は覚醒者と変わりない。

目とか心とか、ちょっと色々濁っているようだ——。

　あぁ、いつも通りに五月蝿い。
　恐らくは３分黙っていたら死んでしまうのだろうというレベルで。

　冷静におっかない事を言っている気がした。

蠍はリンゴを受け取り、輝かしい瞳で見つめている！
どうやらリンゴを初めて見たらしく、とても興味津々のようだ！

だが立ち直りも早いようだ
内心のショックは顔に出さず、にこにこしながらCDと写真集を取り出そうとして…

乗る〜？と背中を向ける

こっちはこっちでジャックさんに興味深々である。

　ゴードは鎌の刃を研いでいる。