【とある似非執事の手記1】

さて、ワケのわからない場所に唐突に放り出されたと思いきや、更にワケのわからない出来事に巻き込まれたようですね。
唐突にむさっ苦しいオッサンと殴り殴られしばき倒す羽目になるとは思いませんでした。ええ。
まさかの熱血展開に友情を育むなど以ての外。
何をしにここへ来たのか分からなくなりますね。
いえ、元々自らの意志で此処に来たわけではないのですが。
ともあれ、疲れた体を癒してから理想のお嬢様を探しでもしようと眠りについた
どの位眠ったか、不図私が目を覚ますと——其処には何という事でしょう。
天使がいたのです。

花の香り纏う笑顔の麗しい、美しい方です。……の、はずなのですが——
至極控えめに、かつ婉曲的に申しまして


萌えません。


おかしいですね。
いかにもお嬢様然としていますのに、こう、センサーが働かないどころか全力で仕事放棄をする始末。
まあ見た目は大変美しいお方ですし、目の保養的な意味では幸運でした。
ぐっじょぶ幸運。
とりあえずはこの幸運に乗じてお嬢様（仮）とお呼びする事にしましょう。

一先ずは拾って頂いた恩もありますし、趣味（理想のお嬢様探し）と実益（暇つぶし）を兼ねて護衛につくとしましょうか。
私のお嬢様は何処にいるのでしょうね。