提携したパーティーとの二度の模擬戦を経て私が得たのは、自らの携える武装の決定的な火力不足。
いかな理屈においてかは知らないが、これがファンタジーな世界の洗礼だろうかと。
しかしこのままでは埒があかない。
秘匿した武装に手を付けようかとも考えたが、恐らくは哀れなカービンと同じく豆鉄砲と化しているだろう。
元の威力が上がれば多少は…とも思ったが、実用的火力を得るには一番の大物を持ち出す他にないだろう。
費用対効果が悪いなんて次元じゃなくなる。

少し聞き込んでみた所、あやしげな魔法具やら呪器を扱う商人から、これはと思える情報を得た。
曰く、一つの世界にはその世界のルールがあり、それは法則であり事象であり在り方であり、無理矢理に持ち込まれた私の銃は謂わば異物である。
この世界のルールを取り込めば良い…らしい。

つまりは、この世界の素材と製法でもって作られた要素を武器に付与すれば良いらしい。部品を作り組み込むも良し、何らかの加護なり呪詛なりを込めるも良し…との事だった。

胡散臭い事この上無いが、背に腹は替えられない。
…まぁ、この世界でパーツを制作し、組み込めば良いらしいが…この銃はかなり手を掛けてきたし、何かあったら少し哀しみを背負いそうだ。
確か、持って来た中に使い捨てるつもりで買ったライフルがあった筈だし、先ずはそいつで試してみるとしよう。

幸い、何だか未来っぽい感じのメンバーがパーティー内での製造を担当している。彼女にパーツ製作を頼もう。

まぁ、なるようになるさ。