「ごめんなさいなのさ・・・。
　ボクの名前はセシル。よろしくなのだよ〜」

うっかり食べかけた肩をさする相手に謝りながら手を差し出す。

相手もにっこりと手を差し出す。
その手は翼。聞けば相手はハーピーと呼ばれる種族なのだという。
足も鳥のような形をしていた。
どうやって戦うのか・・・とても興味深い。

「あの、セシルさん・・・」

「ん？」

「戦闘中、耳を塞いでほしいときがあるのですが・・・。
　その耳で大丈夫でしょうか？」

「・・・・・・・・・・・・。
　多分大丈夫。・・・うん」

「その間はとても心配ですね」

ボクは耳がいい。人の噂話も聞こえてきてしまう。
わざと聞かないフリをするけど・・・しょうがないことだ。
耳を塞ぐということは声だろうか、超音波みたいな？

「自信はないのだ・・・。でも多分きっとだいじょうぶ。
　もう１人じゃないのだ〜」

「そうですね、」

１人じゃない。

体が軽い…
こんな幸せな気持ちで戦うなんて初めて…

きゅるるる・・・
(音と痛みに苦笑いを浮かべながらぶんぶんと羽を振り、相手を振りほどこうとしている)

(髪の長さと顔つきで相手を女性だと思い、声を掛ける)