ただ混沌があるだけでは、そこにエネルギーは生まれない。
他の事象と同じように、混沌もまた高いところから低いところへ降下するときにエネルギーを取り出せるのだ。
つまり、混沌を効率よくエネルギーに変換するためには、基点となる点……つまり、秩序が必要不可欠だ。


----------------------------------day 3------------------------------



「なんで、私は、こんなところにいるんだろう……」
そこは、怪鳥の鳴き声や獣の唸り声が絶えず響く、深い、深い、森の中だった。


──


次なる進行先を決めるために私たちは会議をしていた。
と言っても、大体アトラが一人で話していて、私は適当に相槌を打ってるだけだ。伯爵は外でネムにお手玉されている。
フィリーはそこそこ話に加わってはいるが、どことなく表情が暗い。兵士と戦ってから様子がおかしいようで、やはりあの時私が感じた違和感は間違っていないのだろう。獣の殺意……、「人」ではないものに大分蝕まれているように見える。下手したら今の私より混沌とした状態だ。
あぁ、なんて素敵なんだろう。彼女に目を付けた私の目に狂いはなかった。

そんな、会議とは関係ないことを考えてるうちに大まかな方向性が決まっていた。平原をさらに進むと、強力なエンブリオとの契約が可能らしく、それを狙って進行する方針らしい。
私も戦力の強化が必要だし、特に異論はないので同意しようと……

したところで、突然、邪神様が何かそわそわしだした。

そう言って（？）、邪神様はその外見からは想像もつかないスピードで拠点を飛び出し、森のほうへと向かっていった。

邪神様一人にいかせるわけにはいかないので、慌てて私も追いかける。
背後でアトラたちが何か言ってる気がするが、邪神様のほうが優先度が高いので無視。
森へと向かって駆け抜けていくのであった。





──

邪神様を追いかけて、なんとか合流した私は深い森の中をさまよっていた。
森の中からは気味悪い鳥の声や獣の唸り声が絶えず聞こえてきて、危険な香りがする。
どうやら邪神様はピクシーというエンブリオに興味があるらしく、それがこの森で出現するらしい。
道中、同じくピクシーを求めてきた冒険者たち（しかも変人ばかり）と即席でパーティを組むことになり、現在は4人で森を進んでいる。

邪神様が何かを察知した次の瞬間、茂みからモンスターの群れが飛び出してきた。
さぁいよいよ戦闘だ。邪神様のお目当てのピクシーとやらを……


Encounter

エリンギ
ミニベヒモス
エリンギ
キラーインコ


……きのこときのこと獣と鳥。ピクシーって感じではない。

しきりに背後を振り返りつつ進む。