「アズ、大丈夫？」
兵士達を退けて一息ついた後声をかける。戦闘経験すら少ないところに同じ人と戦うというのは色々と精神的にきついだろう。言葉なく頷いているが……
「ヘイルー、寒いからそろそろ休みましょう」
考え事をしていたらお嬢様がいつものように空気を読まない発言をした。いや、今はある意味空気を読んでるかもしれない。
「お嬢様……判りました。今日は早いですけどここで休みましょうか」
「え、でも……」
「ほら、アズも疲れてるでしょ。私も疲れたからさっさと休むわよ」
戸惑っているアズだけど既にお嬢様は館を呼び出していた。
「お嬢様……」
「ま、今回は私が悪人になるわ。感謝しなさいよ、ヘイル」
どうやらお嬢様は気づいていたようだ。
「申し訳ありません。感謝します、お嬢様」
「ええ、感謝しなさいよ。後、一応私は名目上で実際に戦うのはあなたなんだし。もっと積極的に行きなさい」
そう言ってお嬢様がアズを引き連れて先に中に入っていく、やはり色々あるけどあの地域の領主代わりをしているだけある。色々見ているようだ。
「私もまだまだ修行が足りないわね……魔法も、剣技も、精神も……」