日記4日目
とりあえず、いろんなところを回ってみようと思う。
お城に突貫しようかと冗談で言ってみたけど、案の定シオンさんが否定してきた。
なんていうか、慎重だよね。

そういうわけで水辺と草原を回って見たけど、今のところは大丈夫そう。シルフィもランドホッパーになれてきたのか、出力が上がってきている。

シルフィいわく、森と山は危ないんだって。
ちょっと興味があったけど、シオンさんがダメだって。
シルフィも必死だったからあきらめたけど、いつかは行くことになるのかなぁ。

今日は砂地。ここを見て回ったらまた水辺に戻ろうって話になってる。

……ちょっと、不安だけどがんばろう。


「……どーしろ、と？」
タートルベース内、三人の目の前にあるモニターには、土で出来た人形がうつっている。
埴輪、とかいったか。古代の遺物。これくらいは博物館で見たことがある。

「まあ、めったには見れない光景ですね。」

しかし、人間大よりちょっと大きいそれが奇妙にうごめく様子はさすがに始めてみる光景だ。
さすがに歴戦のシオンもどう反応したものか、と言う感じである。

「……？？」

シルフィにはなんてことはない光景なのだろう。なにに戸惑っているのか不思議そうに首をかしげている。

「シオンさーん。あいつ硬そうだよ。タートルベースで踏み潰しちゃってよー。」

そう提案するフリーダだが

「ダメですよ。もともとこの機体は戦闘用じゃありませんし、
なによりベースのエネルギーは貴重なんですから。」

シオンは否定する
補給が出来ない以上、現在は自己生成するエネルギーで何とかやりくりしているのだ。2階建ての建物に匹敵する巨体を戦闘レベルで動かせるわけがない。

「ちょっとくらいいいでしょー。いくら武装がないって言ったってこの図体なんだから」

備蓄したエネルギーがあることを知っているフリーダが食い下がる。しかし

「明日からエアコンと熱いシャワーなしでいいなら。」

涼しい笑顔でシオンが言う。

「ちぇー、けちー。」

そういわれて引き下がるフリーダ。今いる場所は砂地。ここでシャワーとエアコンがないのは文明圏出身のフリーダには厳しいらしい。

その様子を見て、わずかに笑みを浮かべながらシオンが続ける。

「代わりといってはなんですが、武装を更新しておきました。
スタンブレード。近接戦闘には有効です。」

ランドホッパーのウイング下に取り付けられた展開型のブレードのことである。正規の武装ではないが、彼女の戦いに必要だろうと考えて準備をしていたものだ。

「展開時、電撃をまとった刃を形成します。電撃の射程は現状で数メートルありますが、遠距離時の威力は牽制程度です。直接打撃を主に考えてください」

淡々と武装の説明をするシオン。

「了解、じゃ、いこ、シルフィ」

説明を聞き終えたフリーダは格納庫に向かう。

「ぁ……はい。」

一息遅れて、エンブリオの少女がそれに続いた。