〜　日曜チキレ劇場　〜
【　けっこんしてよ！ギュス子さん　】

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☆登場人物紹介☆

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【　第４話　『あたしのこの手を汚せというのか』　】




扉を開けたら、そこには別世界が広がっていました。

ここは、冥土喫茶 『有楽飯庵』（うらめしあん）。異次元の扉で何処からでも行ける、憩いの妖怪メイド喫茶店です。
料理自慢のオーナーと、かわいい２人のメイドさんがいつでもお客様をお待ちしております。

さて、前回までのあらすじ。

異次元の扉でどんな世界からも来店できるこのメイド喫茶にひとつの事件が起きました。

どこでもド・・・万能異次元扉が不調になり、メルンテーゼにばかり繋がりやすくなってしまったのです。
その為、店の売り上げを支えていた各世界の常連さんの足は遠のいたばかりか、
喫茶店文化があまり普及していない（であろう）メルンテーゼ人のため来客が乏しくなってしまい、
今すぐではないものの、今後の遠くない未来に店の経営が傾くのは間違いない状況に陥ってしまったのでした。

肝心の万能異次元扉の復旧はまだまだ目途が立たないため、ただ待っているわけにもいかなくなった現状を想い、
今、ひとりのメイド女子が来客アップのために立ちあがったのでありました。

・・・というわけで、店舗用のぼり旗を片手に、外の世界に飛び出したギュス子さん。
目的は、このメルンテーゼに住む人々にメイド喫茶の存在を広く知らしめるとともに、気軽に来店してもらえるよう
営業活動、ＰＲ活動を行っていくというものであります。

しかし、意気揚々と飛び出したギュス子さんに、世界は厳しい現実を見せつけるのでありました。



（ぎゃー）

（わー）

（王様！！！ネクターの独占をやめろ〜！！）

街頭に立つギュス子さんに目を向ける人など一人も見当たりません。

それもそのはず。いまメルンテーゼは国を揺るがす規模の内乱状態にあったのでした。
専門用語が多いので、シンプルに一行で説明しますと、


この世界の統治者である王様が、世界の根幹、生活の基盤に関わるエネルギー資源を独占しちゃいましたよ、というお話。


メルンテーゼ人にとって死活問題となる、エネルギー（ネクター）の独占は到底受け入れられるものではなく、
ほぼ当然の流れで人々は武装蜂起に至ったというのが現在の状況でした。

当り前の話ですが、怒りに震えるメルンテーゼ人の皆さんに『喫茶店で癒される』などという生ぬるい言葉が届くはずもありません。
人々に喫茶店うらめしあんを紹介して回る、というギュス子さんの狙いはその第一歩目であっさりと瓦解したのでありました。

イケメンさんの言うとおりです。人々は明日を勝ち取る為に精一杯なのですから、
喫茶店の呼び込みなんて行為、平和ボケしてるようにしか受け取ってもらえないでしょう。

もう既に武力蜂起は始まっており、平和的な解決は望めない公算が大きい現状、これ以上のロビー活動は無意味に思われました。

しかしこのまま引き下がっても喫茶店の危機は変わりません。
なんとかして客を集めなければいけない・・・考え込むギュス子さんに、イケメンさんはひとつの提案をしました。

一揆で人の心が荒み切っている現状では、喫茶店のことなど見向きもされません。
ならば一揆が、革命が果たされて人々の心に平穏が戻れば、きっと求められるチャンスは到来するはずです。
仮に自らがその革命の立役者となったのならば、結果は言わずもがなです。

でもそれは同時に、自分たちが一揆という戦いに身を投じる、己の手を汚すということを意味します。


ここで本来なら、


『自分の手を汚してでも理想を貫く…、
　それができなければ一揆に参加しては
　いけない…、いけないんだよッ！！』


とか、


『…従ってくれるな？　こうしなければ
　メイド喫茶に明日はないッ！』



のような、熱いセリフの応酬が繰り広げられる流れなのですが、今の出演者的に見合った人物がいないため割愛しまして、
ギュス子さんはその後の展開を分けるほどの重大な決断を迫られ、そして今、決断したのでありました。

ギュス子さんの決断にハルさんも同意でした。
元々傭兵稼業で暮らしてきた経験のあるハルさんにとっては、それほど重い決断でもなかったようです。

ギュス子さんの決定を聞き、まるで最初から参加するのが分かっていたかのように、
ハルさんは彼が知っている具体的な一揆の参加方法について説明し始めました。

メルンテーゼで勃発した、国を揺るがす内戦、一揆。

ふとした切っ掛けで迷い込んだメイド喫茶勤務中の妖怪ギュス子さんは、本人の意思とはそもそも関係なく、
いつの間にかその大きなうねりの中に飛び込んでしまっていたのでした。



このメイド妖怪、いったい何処に向かっているのやら。





つづく。


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二人を上から下まで2往復見て

ふと、言われた事を思い出してハッとする