ブランチマンって、誰だろ。
襲ってきた兵士さん達の雇い主さんかな。パラダイスさんの側近だったりするのかな。
まぁいいや。
考えるより、聞いたほうが早いし。
「と、言うわけで幾つか質問があるんですけど、答えてくれますよね？」
足元で倒れている兵士さんに向かって尋ねる。返事はない。
気を失っているみたいだ。とりあえず、起こさないと。
しゃがみこんで、兵士さんの指を一本持って、と。
「えい」
関節とは逆方法に、思い切り曲げる。鈍い音と、複数の悲鳴がなった。
兵士さんと、リコリスのかな。様子を確認してみると、少し顔を青くしていた。
ちなみに、ヒバさんは楽しそうに笑ってて、アイニスは本を読んでた。
この二人は神経が図太くて助かるなぁ。
もしくは、他人の生き死にに対しての関心がなさ過ぎるのか。
っと、目の前のことをまずはやらないと。
「おはようございます。少し、お話しませんか？」
起きた兵士さんに挨拶をする。
「フン、貴様のような虫けらに話すことなど無い！」
兵士さんは僕を睨みつけて、罵ってきた。
この状況で虫けらって。その虫けらに生殺与奪を握られて、恥ずかしくないのかなこの人。
まぁいいや。
「知ってる事を全部教えてくださったら、介抱して近くの拠点まで届けてあげますよ。と、いうことでどうです？」
「断る。施しを受けるなら死んだほうがマシだ」
「そこを何とか」
「ダメだ」
「そうですか」
仕方ないなぁ。
近くで倒れている他の兵士さんのほうに向かって歩く。
「フン、他の奴に聞くつもりか？ 無駄だと思うがな」
「わかってますよ、そんなこと。だから、僕は貴方とだけ話をする事にしました」
飛んできた言葉に答えながら、槍を倒れたままの兵士さんの顔目掛けて突き刺した。多分即死。
リコリスがなにか言ってる気がする。気にしない。やるべきことをやろう。
何かあったらヒバさんに抑えてもらおう。よろしくお願いしまーす。
さて、続き続き。兵士さんとお話しなきゃ。
「貴方が僕の質問に答えない度に、貴方のお仲間にはひどい目にあって貰います。後二人ですね。いなくなるまでに答えて頂けると、僕としても助かります」
普段通りに言葉を吐く。楽しげな素振りを見せずにこういうことができるようになるまで、結構時間がかかった気がする。
……なんだっけ。目的じゃなくて手段として殺すのが大事なんだっけ？ 昔習ったけど忘れちゃった。
まぁいいや。後でゆっくり考えよう。
先程、話をしていた兵士さんの元に戻り、見下ろして僕は問いかける。
「お気持ちの方、変わりました？」
「下衆め。殺すなら俺を殺せ」
兵士さんの言葉に首を横に振る。
「嫌です。僕は貴方から話を聞きたいので。それに、他の方に聞いても無駄なんでしょう？」
んー、さっさと話してほしいなぁ。
「とりあえず、話してくれないならもう一人位いっちゃいますよ？」
「構わん。あいつもブランチマン様のために死ぬなら本望だろう」
わぁお、忠臣。
他にも色々と話しかけてみるものの、全部突っぱねられた。
いいからそのブランチマンって人に早く教えてよ。減るもんじゃないし。
ていうか、忠誠心凄いね。僕なら自分の命が一番大事だからとっくに全部はいちゃってるよ。こういう人は嫌いなんだよねぇ。
ぐだぐだぐだぐだ、押し問答を続けるだけになることが多いし。
ていうか今なってるね、うん。
進展しない状況を、全て潰したくなる衝動が生まれ、思考を塗りつぶしていく。
もういいや。全部殺そう。大事な時間が減っていくだけっぽいしね。時は金なり、だっけ。ヒバさんも言ってたもんね。
「分かりました。もう心代わりは無い、と思っていいんですね？」
槍を振り上げて、そう尋ねた。
兵士さんの答えは肯定だった。
僕は槍を振り下ろし、兵士さんは死んだ。


その後、残った二人の兵士さんも殺した。
リコリスが止めてきたけど、意に介せず殺した。
さて、全部終わったことだし、進軍しないとね。