兵士との戦いは熱烈を極めた。ところどころで「最高神の導きがなければ負けていた……」とも聞く。
だが、この先には更なる戦いが待っているのだろう。来たる戦いに備え、休息をとっている間、アニマと契約した時の事をふと思い出す。あれは確か、初めての敵と戦う前だっただろうか。



王城へ向かう道中、草むらの中からなにやら良い匂いがしていた。肉特有の旨味が空に飛んでいる。
さてなんだろうと草を分け探ってみると、１つのエンブリオが焼けていた。

どうやらアニマの類らしい。共に王城を目指していたシェイドに聞いてみると、「熱い」というのはエンブリオの生命力が尽きかける時の最後の輝きらしい。
「つまるところ、あのアニマは死にかけというわけか」「そうなるな」
エンブリオの力を借りたいものは山ほどいる。エンブリオが飢えるというのはそうそうないはずだ。
だが、新たな王がネクターを独占することによって、このように飢えるエンブリオが出始めた。
生命を与える契約者と、力を与えるエンブリオとは共存の関係にあるはずなのだ。
新たな王は、その関係を破壊させてしまった。やはり、王は正させなければならない。私はそう確信した。

そして、ここでこのアニマを見殺しにするのは、私の良心が許さない。私はネクターを取り出し、アニマと契約をした。
私の生命力を貰い、元気になったアニマは、私に挨拶をする。

あの時の、王を正す、という決意は忘れないでおこう。私は改めて誓った。