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確か……その手の部屋にしては小さめで。いつものワンピースを着た私が楽しそうに歌っている。

整ったままのベッドに座ったまま乱雑に鞄を漁る。
お母さんに教えて貰った鼻歌を交えながら。
中身を出しては投げ捨て、出しては投げ捨てる。

「初めてだったけど拍子抜けねー☆もっと楽しめるかと思ったのに♪」

一応礼儀として漁っているものの、中身に興味があるわけでもない。
転がしたゴミを足先でつつきながらお母さんの言葉を思い出す。

「ええと……出る時は見つからないように窓からぱっぱと出るんだっけ？」

とりあえずの駄賃を拝借しながらきょろきょろと部屋を見渡す。
小奇麗なベッドによく見えるシャワールーム。
どうやらこの手の部屋に窓は少ないらしい。

「んー……廊下にいっこくらいあるでしょ☆」

ぴょんっとベッドから飛び降りると散らかしたままの部屋を後にした。

初めての時の記憶。



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少し離れた先で少女が空を舞いながら道行く人へチラシを配っている。
そのままの流れでこちらへきたかと思うと、之衣の姿を見て驚いた声を上げた。

両腕をばたばたさせ、おろおろしながら周囲を見回している。
周囲の目が気になるようだ。

うつむいて真っ赤になてもじもじ

青年は微笑を浮かべたまま、服周りを何度か叩く。

少年は特に何をするでもなくボーっとしている。