水辺を、川辺を進みながら、同行者の彼を見て。
　私は考えを改めた方が良いかもしれない、と思った。

　王城前に着いてから、今日で4日目。
　それからここに来るまでの間、一揆に参加するらしい、色々な人と出会った。
　そして思ったことは、
「……何であんなに、皆、濃い性格をしているのかしらね……」
「ピィ？」
　ウルヘアのどっちつかずな返事を聞きながら、私は思い出す。
　いや、まあ、まとも（そう）な人も（多分）いた（と思いたい）。
　でも明らかに、その、何と言うか、変な人が多い気がする。
　喋る白い布とか、触手（？）を千切って寄越してくる青年だとか、出会い頭に魔王と名乗ってくる女の子だとか、何か、色々。

　皆、キャラが濃い。
　ミハウの豹変具合に驚いていた私はまだまだだった。間違いない。しかも彼には理由があると言うのだし。
　行く先々、一揆の参加者は、大体こんな感じなんだろうか。
　……ちょっと頭が痛くなってきた。
「ピ、ピーィ」
　ウルヘアは呆れたような鳴き声を返してきた。
　そりゃあ、ウルヘアの方が私より人生（エンブリオ生？）経験を積んでいる。まだ私が見たことのないようなものも、見たことがあるんだろう。
　私が見て驚くようなものは、彼にとってはまだまだ序の口なのかもしれない。

　けれど私の見聞は正直、狭い。それは自覚している。何せ森から離れたのは、初めてなのだから。
　だから正直なところ、ここに来て色々なものを見て、戸惑いを隠せていない。
「……ピ、ピピィ！」
　今度はウルヘアが諭すように鳴いた。
　きっと不安そうな顔をしていたのだろう。さすがに彼なりに心配してくれている、らしい。
　私は目を閉じる。
　瞼に描くのは、故郷の、慣れ親しんだ森。
「色んなものを見てきなさい、って、言ってたわね。父様が」
「ピィ！」
「……ん。頑張るわ」
　その意気だ、と言う風に、ウルヘアはまた鳴いた。
　私は目を開く。
　次に視界に入ったのは、

「ふぅ……」
「……何者だッ」
「き……貴様あぁぁ！　兵士の休息を狙うとは卑怯なッ！！」
「防具が無くともそのような輩に負けはしないッ！
　うおおおぉぉぉぉぉぉッ！！」

　……水着姿でこちらに襲い掛かってくる、男だった。

*
*
*

　〜攻城戦に続く？〜

話しかける前の視線にも気づいていたのか、返答を始める

どうやら舌を噛んでしまって上手く発音出来ないらしい。

…気を取り直して。

こちらを慮るような眼差しに、僅かに躊躇し。
けれど、踏ん切りをつけるように、首を横に振って。

コトカに向き直り、一度、深く頭を下げて。

上手く自制できなかったのだ、と苦笑いを浮かべ、すぐに真面目な表情に戻り。

ほんの少し、言いよどんでから、情けなさそうに呟いた。

目を細め、深く息をつく。武器を構えて、まっすぐ前を向いた。

ふ、と息をついて、瞬きをひとつ。

微笑んでから一礼。深く息をついて、相手を見据えた