平原で出会ったケット・シーと契約した。
エンブリオって契約することでいろいろできるようになるというのがまさにゲームっぽいよな。

契約したケット・シーはメインクーンのように体が大きい長毛種で、非常にもふもふしている。
毛色はねずみ色というか、紫混じりの灰色というか、そんな感じ。
美猫という風情は凛とした横顔からだけでも十分うかがえる。
名前をつけるために何度か性別を確かめようとしたが、その度に生傷が増えるので諦めた。
となれば、オスでもメスでもいける名前、ということで「グラ」と命名。
なつかれていないせいか性分なのか、グラは触られるのが嫌いらしい。
まぁ猫だし仕方ないか。

エンブリオといえば、最初から契約していたサラマンダーもいる。
いることはいるんだが、見えない。
契約の繋がりがあるからか、そこにいるっていうのは分かるんだが、見えない。
居る場所に手を伸ばすと何もないように見えても感触はあるから、光学迷彩なのだと思う。
引っ込み思案なのかそういう生き物なのかは分からない。
嫌われている様子はないから、よしとしよう。
名前はケロマンダー、普段はケロと呼んでいる。
ケロが出てきた経緯はもう思い出せない。

もう1体、シェイドと契約はしているんだが…契約ほやほやなもので。
俺の影にとぷんと潜ったまま全然出てこない。
契約レベルが上がればそのうち仲良くなれるだろう。多分。
個性もなにも分かったものじゃないので、名前はまだ考え中だ。

3体も契約しているのに、普通に仲良くできてないのはなんなんだろうな。

その鋭い眼差しに見つめられても、表情一つ変えず。

魔女の後に控えるようにしていた、猫足の鍋がよいしょとこちらに近づく。
少しだけお辞儀をするように前足部分を低く傅いた。

目を閉じ、呼吸を調えて神経を集中させる。
早口に異国の歌のような言葉を唱え始め。

ふわ、と風が彼女の周りにまとわりついた。

目を閉じ、呼吸を調えて神経を集中させる。
早口に異国の歌のような言葉を唱え始め。

ふわ、と風が彼女の周りにまとわりついた。

(ざんねん！ロロムの思考力では相手を挑発してると気づけない！)

スープからはコンソメと、黒胡椒のような香りがする。